どうしたドイツ「経済低迷」が当分続く3つの必然 欧州景気に急ブレーキ、ECBは連続利下げへ

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CDUを率いるメルツ党首は、旧東ドイツ地域で9月に行われた州議会選挙で3割前後の票を獲得した右派ポピュリスト政党・ドイツのための選択肢(AfD)との連立の可能性を否定している。

世論調査で1割前後の支持を集める新興左派政党・ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟(BSW)は、北大西洋条約機構(NATO)やEUに懐疑的な政策を主張し、連立相手として不安が残る。

現ショルツ政権に参加する中道左派の社会民主党(SPD)、環境政党・緑の党、リベラル政党・自由民主党(FDP)の3党はいずれも党勢低迷に見舞われており、CDU/CSUが率いる政権に積極的に参加する機運はない。

連立協議は難航が避けられず、新政権が本格始動するのは2026年以降にずれ込む公算が大きい。

ドイツ経済の停滞が長期化する可能性が高まるなか、欧州景気の下振れリスクが高まっている。

ECBは来年前半にかけ「毎回利下げ」

今年6月に約5年ぶりとなる利下げを開始したECBは、十分なデータがそろっていないことを理由に7月に利下げを見送った後、9月は追加利下げに踏み切った。

ECBは今後も利下げを継続する方針を示唆するが、経済・金融・インフレ動態・金融政策の波及経路などのデータに基づいて理事会ごとに判断するとしており、特定の政策金利経路を事前に約束しないことを明言している。

足元でヘッドラインのインフレ率の鈍化が進んでいるが、サービス物価や賃金の高止まりが続いていることから、筆者はこれまで、ECBが四半期に1回のスタッフ見通しの発表月(3月、6月、9月、12月)に合わせて0.25%pt刻みの慎重な利下げを継続し、2025年末までに下限の政策金利(預金ファシリティ金利)を2.25%に引き下げる展開を想定してきた。

だが、このところの経済指標からは、ユーロ圏経済がECBの想定を上回るペースで減速している可能性が示唆され、景気の腰折れ回避と中期的な物価安定を達成するには、より早いペースでの利下げが必要になるものと判断される。

そのため、ECBは10月17日の理事会で0.25%ptの連続利下げに踏み切り、来年前半を通じて、毎回の理事会で0.25%ptの追加利下げを実施すると考える。

田中 理 第一生命経済研究所 首席エコノミスト

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たなか おさむ / Osamu Tanaka

慶応義塾大学卒。青山学院大学修士(経済学)、米バージニア大学修士(経済学・統計学)。日本総合研究所、日本経済研究センター、モルガン・スタンレー・ディーン・ウィッター証券(現モルガン・スタンレーMUFG証券)にて日、米、欧の経済分析を担当。2009年11月から第一生命経済研究所にて主に欧州経済を担当。

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