どうしたドイツ「経済低迷」が当分続く3つの必然 欧州景気に急ブレーキ、ECBは連続利下げへ

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第3に、財政ルールの縛りだ。

ドイツは欧州連合(EU)の財政規律に加えて、基本法(憲法)で財政収支の均衡化を義務付ける独自ルール(債務ブレーキ)を採用している。憲法裁判所は2023年11月、パンデミック危機対応の予備資金を気候変動対策の財源に付け替える政府の予算調整措置が違憲であるとの司法判断を下した。

そのため、財政均衡規定への抵触を回避するためには、2025年度予算に追加の財政緊縮措置を盛り込み、政府の借り入れを抑制する必要がある。連立政権内の政策の優先順位の意見不一致もあり、財政出動を通じた景気の下支えは難しい。

EUの支援は望めず、国内政治の停滞は続く

ショルツ首相が率いる連立政権のレームダック化に、気候変動対策の推進と財政規律の呪縛も加わり、ドイツの経済停滞への政策対応の余地は限られる。

EUレベルでの政策対応の余地も乏しい。

欧州復興基金は、新型コロナウイルスの感染収束後の経済復興に充てる財政資金を加盟国に提供しているが、南欧や東欧諸国に重点的に配分され、ドイツの景気対策には使えない。2期目の続投を決めた欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、気候変動対策の推進と競争力強化の両立を目指すが、その具体策や財源は未知数だ。

政治停滞の打破にも時間がかかる。

2025年秋に予定されるドイツの連邦議会選挙では、かつてメルケル首相が率いた保守政党・キリスト教民主/社会同盟(CDU/CSU)が政権に返り咲く可能性が高い。だが、単独での過半数獲得は難しく、政権運営には他党の協力が必要な状況にある。

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