中国が「アメリカ大統領選への態度」を変えた狙い 4年前の"大統領選に関心はない"から変貌
2023年2月に起きた「気球事件」では、中国の気球がアメリカへ侵入したのは不可抗力だったとして遺憾の意を直ちに表明し、ブリンケン国務長官の訪中を延期するというアメリカの決定を「尊重」までしてみせた。
外国の学者や学生などに対する返信という形で習近平国家主席から出される書簡にも、アメリカを優先する姿勢が現れている。
2023年と2024年に発出された書簡は合計18通あるが、そのうちアメリカ人に対する書簡が6通と最も多い。その次にアフリカ向け4通、欧州向け3通であり、習主席がアメリカとの関係を重視していることが伝わってくる。
交わらない米中両国の方向性
中国がアメリカとの意思疎通を頻繁に行うようになったのは、アメリカと手を結ぼうとしているからではないだろう。
むしろ中国は、米中双方の戦略的目標は交わらず、両国が対立する構図が長期化せざるをえないことを悟り、対話を通じてアメリカとの緊張関係をマネージし、誤解やボタンの掛け違いから米中の衝突を避ける必要を感じ始めている。
中国は2017年の第19回党大会で、2050年頃までに「社会主義現代化強国」になるとの目標を掲げ、国内を「強さ」でまとめようとしている。
外交面では、「発展」「安全保障」「文明」に関する3つのイニシアティブを打ち出し、「人類運命共同体」への賛成を取り付けることで、グローバルガバナンスをより「公平な」ものにするという戦略的な目標を持っている。新興国の台頭と欧米の影響力低下という「100年に1度のチャンス」を利用し、欧米中心の国際的なルール・秩序を修正し、自らに有利な国際秩序を作り出したいという趣旨だ。
これに対しアメリカは、中国はアメリカのリーダーシップに挑戦し、国際社会で影響力を拡大させようとしているとして警戒を隠さない。
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