どうするサンバイオ、副社長辞任、新薬承認の遅れ 森敬太CEO「申請の自主取り下げは考えていない」

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サンバイオの森敬太社長
サンバイオの森社長は長引く細胞治療薬の審査に対して見解を述べた。写真は2019年(撮影:梅谷秀司)
2001年にアメリカで創業して以来、脳の疾患に関する細胞治療薬を開発してきた日本の創薬ベンチャーのサンバイオ。年明けに1つのサプライズがあった。1月20日、COO(最高執行責任者)だった辻村明広副社長の辞任が発表されたからだ。
さらに1月30日には、開発中の細胞治療薬である「SB623」が2月に開かれる厚生労働省の審議会の議題に載らず、市場が期待する承認取得の時期がさらに先送りとなることが判明した。画期的な新薬に対して審査を優遇する「先駆け指定」を受けた薬について、審査期間のメドは6カ月。サンバイオの申請は2022年3月のため、審査が大幅に長引いている(詳細はこちら)。
審査から1年近く経とうとする中、承認申請の「自主取り下げ」の臆測も飛び交う。向かい風が吹く中、サンバイオは今後の展開をどう考えているのか。森敬太社長CEOに直撃した。

――2月に開かれる厚労省の薬事・食品衛生審議会の部会の議題に、サンバイオの「SB623」が載りませんでした。一部では、承認申請の自主的な取り下げをするのではという見方も出ています。

自主取り下げはまったく考えていない。先駆け指定の医薬品・再生医療等製品では申請から承認まで通常6カ月のメドがあるが、SB623は今12カ月近くかかっている(それでも承認取得できていない)のは、われわれとしても歯がゆい。

(申請後は)速やかに承認取得できると期待していたが、申請後の審査、当局とやり取りする中で、2022年10月のリリースで書いたとおり、生産関連でもう少し時間がかかることがあり、今そこを対応している。SB623がまったく新しい分野だからこその問題だと思う。非臨床試験、臨床試験(治験)データ上での薬の効果や安全性について、審査はスムーズにいっている印象だ。

昨年夏の段階では「いける」という感触があった

――生産関連の審査に時間を要するとした2022年10月のリリースだけでは、外部から審査の長期化についての理解は得られにくいのではないでしょうか。

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