「ぺんてる争奪戦に白旗」コクヨは王座を守れるか 2位プラスが猛追、カギは文具よりオフィス家具
国内文具首位のコクヨは、保有するぺんてるの全株式を同2位のプラスに売却する。買収合戦に白旗を揚げたコクヨだが、ぺんてると海外展開では提携する。
約3年にわたった文具業界の大騒動が、ようやく幕を閉じた。
9月30日、文具・事務用品で国内首位のコクヨは、同2位のプラスに筆記具メーカー・ぺんてるの株式を売却すると発表した。ぺんてるの発行済株式総数の45.6%すべてを手放すことで、同社はコクヨの持ち分法適用会社から外れる。
ぺんてるをめぐっては2019年、子会社化を目指してファンドを中心に株式を買い集めたコクヨに対し、経営の独立性を重視するぺんてる側が反発。プラスをホワイトナイトに擁立し、同社がぺんてる株の約30%を確保した結果、コクヨはぺんてる株の過半数を獲得することはできなかった。
株式は売却もコクヨとぺんてるは海外展開で提携
その後、コクヨは筆頭株主としてぺんてるとの提携を模索するも、両者の関係は膠着状態に陥った。ようやくこのタイミングで、コクヨが株式を手放す代わりに、ぺんてるの商品をコクヨの販路を生かして中国市場に展開する、という形の提携がまとまった。
コクヨは今2022年12月期中をメドに株式を売却する見込みで、業界2強の間で巻き起こった買収合戦に白旗を揚げた格好だ。
一方、プラスによるぺんてる株の保有比率は76.3%に達する見通しで、ぺんてるは一転して同社の連結子会社となる。前2021年度の売上高をプラスとぺんてるで足し合わせると、単純計算で2243億円。コクヨは同3201億円のため、2014年度には約1700億円あったその差が1000億円程度に縮まることとなった。
コクヨとプラスがぺんてるを奪い合った背景には、筆記具以外で成長が見込めない文具業界の現状がある。矢野経済研究所の見立てによると、2021年度における国内の文具・事務用品の市場規模は4118億円で、4年前から11.2%減少。
コロナ影響による小売店の休業・営業時間の短縮やインバウンド需要の蒸発のみならず、人口減少とペーパーレス化の波に押され、国内市場はじりじりと後退している。
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