2020年が過ぎると、大不況になる可能性が高い。膨大なカネを費やす東京オリンピックが終わって、公共事業が止まり、東京都内にまで少子化が及んで空き家だらけになる。
団塊の世代がこの世を去る20年代後半、日本社会がどうなるかを、近著『団塊の後 三度目の日本』という未来小説に書いた。
まず医者が猛烈に余る。医者ほど潰しの利かない職業はないから、困った医者たちは患者を作ろうとする。健康な人に対しても「危ないですよ」とあおり、病人扱いしようとするおそれがある。
不動産価格は暴落する。相続税対策で買った高層マンションには借り手がいなくなり、ものすごいたたき売りに遭うだろう。
日本は非常に困った状態となり、窒息しそうになる。既存の体制の機能不全が明らかになる。ちょうど江戸時代でいうと、天保のころのような雰囲気である。
江戸時代の正義とは「天下泰平」、社会の体制を変えないことこそ正義だった。それがしだいにしんどくなり、幕末の志士のような、「仕組みを変えろ」と言う者が出てきた。近い将来の日本でも、社会の安定を壊すようなムードが高まるだろう。改革の機運は特に、閉塞感の源である人口減少問題に対して起こる。具体的には移民受け入れを政策的に行うことだ。
歴史をひもとけば、日本は移民に非寛容ではなかった。17世紀初め、鎖国になるまでの30年の間には、ものすごい数の外国人が日本に来た。明朝が滅んで満州族に支配された時期である。彼らは3代も経てば立派な日本人となり、中には忠臣蔵の討ち入りにまで参加した者も出た。明治初め、清朝がおかしくなったときも大量の中国系の人が来た。そして陳舜臣さんのような直木賞作家や、鳳蘭さんという宝塚のスターが出た。
外国人を入れると日本人はすごく刺激されるようだ。17世紀に流入した外国人は陶芸や染色の産業を起こしたり、諸大名の右筆(ゆうひつ)や御典医になったりと社会に貢献した。
日本人は、もっと自分たちの同化力に自信を持つべきだ。日本文化は決して日本土着の日本人だけで作られたものではないことを、あらためて認識してほしい。
この30年の日本は、世界的に見て最も変化のない国だった。戦後の官僚による安定の枠組みを、多様な民の力を借りて、一度かき乱すことができるかが、平成以後の世の盛衰を見る試金石だろう。
(聞き手・本誌:西澤佑介)






















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