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模倣と創造のあいだ 第18回

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東京五輪のエンブレム問題は、組織委員会による撤回で一応の決着を見た。でも結局、あれはパクリだったのか? 模倣と創造の境界線はそれほど明確か? そんな疑問が頭の隅に残る。

著作権侵害はなかった?

弁護士 福井健策 

ふくい・けんさく●1991年東京大学法学部卒業。米国コロンビア大学法学修士課程修了。骨董通り法律事務所代表パートナー。(撮影:尾形文繁)

法的な観点では、今回の五輪エンブレムはベルギー・リエージュ劇場のロゴに対する著作権侵害には当たりにくいでしょう。

侵害が成立するには三つの条件がそろわなければなりません。まずベルギーのロゴが著作物であること。次にロゴとエンブレムが実質的に似ていること。最後に佐野研二郎氏側がベルギーのロゴを見ていること。提訴したベルギー側はこれらを裁判ですべて立証する必要があります。

今回のように比較的単純なマークの場合、通常は著作物に当たらないことが多い。単純なマークに、著作権のような保護期間が長く範囲も広い強い権利を与えてしまうと、使えない図形が多くなりすぎてしまうからです。単純なマークの場合、商標登録をしなければ権利は発生しません。また商標権は登録国でしか発生せず、期間なども限定されています。今回、ベルギーのロゴは商標登録されていませんでした。

仮にベルギーのロゴがぎりぎりで著作物と認められても、エンブレムがそれと酷似しているレベルでなければ著作権侵害には当たりません。単純なマークはパターンが限られるため、イメージが似ている程度で著作権侵害としては、どんなマークを作っても何かに対する著作権侵害になりかねないからです。これは「薄い著作権の理論」という世界共通の考え方です。

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