陳謝の戦略 相次ぐ社長会見は必然だった
トヨタ自動車、東芝...企業の陳謝会見が相次いだのは偶然ではない。その必然と戦略とは。
「世間をお騒がせして申し訳ない」(6月19日、トヨタ自動車の豊田章男社長)、「株主や資本市場関係者に多大な御迷惑をかけ、深くおわび申し上げる」(5月29日、東芝の田中久雄社長)──。このところ、不祥事を受けた大手企業トップの陳謝会見が相次いでいる(図表1)。それぞれの問題は経緯や性質がまったく異なり、事業・財務への影響度もさまざまだ。にもかかわらず陳謝会見が相次ぐのは、そこに必然性があるからだ。
デロイト・トーマツ・ファイナンシャルアドバイザリーの2014年の調査によると、不正が起こった企業の55%がその事実を公表している。この比率は3年前に比べ15ポイントの上昇だ(図表2)。不正が発生する比率そのものは両年とも25%で変わっていないため、「企業は不祥事を自ら開示する傾向にある」といえる。
メールに代表されるような経営情報の電子化によって、不祥事の証拠は複製・流出しやすくなっている。これらの情報を得た人がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などを使って社会に広く発信できる時代でもある。こういった中、不祥事が起こった際に公表が暴露や報道などより遅れると、たとえ企業側に隠蔽する意図がなくても「なぜ公表しない」と大きな批判を集め、社会的に高いコストを払う結果となる。
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