2.3万人失踪「技能実習生」声なき声を救う手段 トヨタや花王等参加のプラットフォームが始動
日本では2018年からの3年間で、計2.3万人の技能実習生が失踪している。そんな中、実習生たちの「声なき声」を救う取り組みが動き始めた。
1月上旬の週末、神奈川県内のファミリーレストラン。その一角に、4人のカンボジア人と労働・生活支援団体の日本人が集まっていた。
「夫が居ないことが寂しくて耐えられない。別の地域にいる親戚のところへ引っ越したい」。疲れきった表情で話すのは、愛知県で技能実習生として働く25歳のカンボジア人女性だ。「日本でお金を貯めて子どもにいい教育を受けさせたい」と、夫と一緒に実習生として2年前に来日した。
しかし2022年に入ってすぐ、夫は自殺した。「不規則な労働時間や住環境が原因であることは明らかです」と女性は振り返る。発見された遺書には、「仕事はしたいが、職場に問題があり、戻りたくない」旨が記されていた。自殺の前、職場から「失踪」していたのだ。
夫の実習先は、ある有名菓子メーカーの工場。午前2時や3時からのシフト勤務に入ることもざらで体調を崩すようになった。「会社や監理団体(実習生の受け入れ窓口)に相談しても『がまんしろ』と言われ、転職も認められなかったようだ」と、同じく実習生の友人は証言する。
企業責任を問うのは「怖い」
技能実習制度では原則、転職することが認められない。女性は今、自分が転職できるかどうか、引っ越し代をどうするか、さらには監理団体に肩代わりしてもらった夫の葬儀代60万円を工面できるかで頭を悩ませている。
女性をはじめとした遺族と友人らは、会社に責任を問うかについては決めかねている。「自分たちが仕事を失うかもしれず、怖い」(相談した実習生)と、不利益を被ることを恐れているからだ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら