キリンビール、急きょ大抜擢された新社長の手腕 前社長が急逝、後継者は清涼飲料の改革で実績
キリンの「顔」である事業のトップへの大出世に、社内からは「強運の持ち主」との声も。どんな手腕が評価されたのか。
清涼飲料で発揮した腕前は、ビールの大舞台でも通用するか。
キリンホールディングス(HD)は11月9日、中核子会社であるキリンビールの社長交代人事を発表した。2022年1月1日付で、現・キリンビバレッジ(以下、ビバレッジ社)社長の堀口英樹氏(59)が新社長に就任する。
キリンビールで2015年から社長を務め、昨年には11年ぶりのビール系飲料シェア首位奪還へ導いた布施孝之氏が9月1日、心室細動により急逝。突如空席となったポストは現在、キリンHDの磯崎功典社長が一時的に兼任している状態だ。
会見で磯崎社長は、「『利益を生み出し続けなければ、次の成長はない』と言う堀口なら、キリンビールでも大いに手腕を発揮すると期待している」と話した。「午後の紅茶」などの清涼飲料水を製造・販売するビバレッジ社からキリンビールの社長に就任する人事は、1991年のビバレッジ社発足以降初めてという。
キリンの「顔」のトップに大出世
「失礼な言い方だが強運の持ち主だ」。あるビバレッジ社の社員は、堀口氏の就任についてそう口にする。
1985年にキリンビールに入社した堀口氏は、アメリカのグループ会社や小岩井乳業の社長を歴任し、2016年からビバレッジ社の社長を務める。同社の2020年度の事業利益は218億円。一方のキリンビールの同年度実績は732億円で、キリンHD全体の半分近くを稼ぎ出す。まさにキリンの「顔」である事業のトップへの大出世だ。
ビバレッジ社での堀口氏の実績については社内外で一定の評価がある。同業他社の社員からは「一時は事業の見極めの話も出たところを、利益が出る体質に変えた印象が強い」との声が上がる。
堀口氏の社長就任前の2015年度、同社の営業利益率はわずか1.5%だった。他社との過度な競争により販促費がかさみ、工場の生産性も低い状態にあった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら