生き残りへもがく製紙業界 市場縮小が止まらない
IT機器の発達で印刷需要が減り、紙の国内市場は8年連続のマイナスが必至。製紙各社の再編戦略は合併から部分連携へ。
製紙業界2位の日本製紙は5月16日、富士山麓にある静岡・富士工場(上写真)の敷地内で、新生産設備の竣工式を行った。再生紙専業の春日製紙工業との合弁で立ち上げた家庭紙の新ラインだ。既存の建屋に最新鋭設備を据え付け、「スコッティ」「クリネックス」ブランドのトイレットペーパーとキッチンペーパータオルを生産する。日本製紙にとって、新ライン立ち上げは実に11年ぶりだ。
家庭紙は国内需要が堅調な数少ない分野。製紙業界全体を見渡すと、各社は今、生き残りを懸け、もがいている。
「33%の中でシナジーを見つけることが、当社が生き残るための必要条件になる」。今年2月上旬、業界首位・王子ホールディングス(HD)と同6位の三菱製紙が開いた資本・業務提携共同会見の席上、三菱製紙の鈴木邦夫社長は自社の状況を、そう述べた。
三菱製紙は王子傘下へ 共同化でコスト削減
王子HDは競争当局の認可後、2019年末までに約100億円で三菱製紙の第三者割当増資などを引き受け、持ち株比率33%の関連会社とする。業務提携は、原材料・燃料の共同購入や木材チップ運搬船の共同運航、工場や物流拠点の相互活用など、効率化に向けた幅広い協力を検討する。
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