白紙の深層 パソコン3社統合
報道が過熱する裏で東芝や富士通との具体的な協議は何一つ進んでいなかった。その背景を探った。
東芝と富士通がパソコン部門を切り出そうとしている──そんな話が日本産業パートナーズ(以下JIP)に持ち込まれたのは、2015年秋のことだった。
JIPは「カーブアウトファンド」として知られる。大企業が非中核事業をカーブアウトする(=切り出す)際に出資し、切り出された事業を新会社として10年スパンで育成する投資ファンドである。
JIPには、VAIOでパソコン事業の切り出しを手掛けた実績があった。VAIOはソニーの元パソコン事業部門で14年夏に設立。現在の出資比率はJIPが92.6%、ソニーが4.9%、VAIO経営陣が2.5%である。設立後2期目の15年5月期は19億円の営業赤字だったが、それはJIPが当初から想定していた範囲内である。
元双日常務の大田義実氏を同年6月に2代目社長に据え、機種別の損益管理を徹底。VAIOの黒字化への手応えをJIPも感じ始めていた──東芝と富士通の案件が舞い込んだのは、そんな矢先だった。
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