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欧州の資本市場同盟 実効性が疑わしい

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ギリシャが債務の帳消し、緊縮策の終結などを求める中、ユーロ圏の存続がまた疑わしくなっている。が、銀行同盟は発展の初期段階にとどまっており、欧州委員会は次の冒険(いわゆる「資本市場同盟」)に着手している。

この計画が単一の欧州資本市場創設を目指していないことは確かだ。欧州連合(EU)首脳は、新たな条約を必要とする野心的な計画を発表するほど愚かではない。結局、欧州の有権者はさらにEUへ権限を移譲する気分ではないのだ。

この「資本市場同盟」はスローガンとして始まった。金融市場担当欧州委員の英国のジョナサン・ヒル氏が、「資本市場同盟」の肉付けをする大変な仕事を任された。本件に関する欧州委の「グリーンペーパー」の審議会では、回答された疑問よりも多くの疑問が新たに生まれた。

シンクタンク、ロビー団体、国家レベルの規制当局はすぐさまヒル委員の取り組みに働きかけ、自分たちの利益に害を与えうる動きに歯止めをかけようとした。国家の中央銀行を犠牲にして欧州中銀に新たな権限を与えた銀行同盟と同じことを繰り返すべきではない、とイングランド銀行(英中銀)は論じた。英中銀によれば資本市場同盟は、「制度上の変更を必要としない」ので、強大な規制当局は創設されるべきではない。

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