自動車産業の構造変化に対応した勝利のシナリオ 佐瀬 真人(デロイト トーマツ コンサルティング パートナー)
× 田中 義崇(デロイト トーマツ コンサルティング パートナー)

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「価値の共創」により
明日のモビリティ社会を牽引する

「事業モデル競争時代」を勝ち抜くためには、従来とは異なる戦い方が不可欠となる。キーワードは、他者との「価値の共創」だ。さまざまな外部ステークホルダーの声に耳を傾け、手をつなぎ、これまでの自動車業界の常識や枠組みを超えた発想や行動を実践して、新しい価値を共創することが求められる。

「先進国モデル」においては、「既存の規制やビジネスモデルへの適合」を前提とした「個別最適」のソリューション開発ではなく、「全体最適」の着眼から「技術進化を織り込んだ上位レイヤーからのシステムデザイン」へと発想の転換を図る必要がある。そのためには、都市のあり方を考える自治体・交通事業者との協業はもちろん、IT先進企業や研究機関との協業やアライアンスを通じてIT 業界の先端技術を取り込むことが不可避となる。

「新興国モデル」が追求すべき真の産業報国の実現には、国家の成長を導く政府はもちろん、地域経済の担い手となる地場産業や地域社会との連携が今まで以上に重要となる。

また、いずれのモデルにおいても、社会課題解決に向けては自動車業界の枠を超えた政治・経済・社会情勢への深い洞察・理解が必須であり、社内の情報収集/分析力の強化とあわせて、グローバルまたはコミュニティレベルでの社会課題に専門性を有するNPO/NGOといった社外の頭脳・ネットワークを活用することも重要なポイントとなる。

自動車業界が持続的にモビリティ社会を牽引するためには、既存の産業・業界構造を前提とするのではなく、自らが他者との「価値の共創」を牽引し、自動車産業/業界のあり方を再構築することが求められる。

(photo: Hideji Umetani)