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【特別対談】 日本の企業は“第二の創業”を経て世界でプレゼンスを高めよ 近藤 聡 デロイト トーマツ コンサルティング 代表取締役社長 パートナー
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田北 浩章 東洋経済新報社 取締役編集局長

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連続性を断ち切る

田北 よくいわれることですけれど、2000年までの世界と、それ以降の21世紀の世界とでは風景がまったく違います。新興国がプレーヤーとして入ってきてからは、経済環境は大きく変わりました。ところがわれわれも含めたビジネスパーソンは連続性で生きていますから、1980年代や1990年代の残像を引きずりつつ2000年代に入ってきていて、その対応ができていないという気がします。

近藤 そうですね。特にリーマンショックのときに本当に潮目が変わったなあという気がします。そこから先の姿が描ききれていない。そこを考えあぐねている会社が多いのではないでしょうか。

田北 一回、連続性を断ち切らなければいけないのですが、これは厳しいですね。昨日と同じ人たちが今日も仕事をして、今日の人たちが明日もきっと同じように働くわけですから。どうすればいいでしょうか。

リーダーシップのあり方を変える

近藤 戦後の日本企業の強さの源泉として、年功序列、終身雇用、企業内組合が三種の神器といわれていました。確かに優秀なミドル層を大量につくり出すという意味では、機能していたと思います。しかしそれ以上に、戦略を立て、リスクを取りながらそれを実行し、長期にわたって経営を行った創業者の存在が大きかったと思います。今、元気の良い日本の企業も、創業者や創業からの生え抜き、または外部からの招聘を含めた中興の祖といわれる方々が長期にわたり経営をしている会社が多いように思います。これからの新しい成功の基準を描き、それにコミットできる意志と時間のあるトップに代えることが必要だと思います。下から変わっていくという類の話ではないので。

田北 トップを代える、それもできれば若手へということですね。

近藤 世代の違う、かつ長期間その任にあたれる人にそのポジションを与えるということをしないと、本当に変えることは難しいでしょう。そのためには、人材育成の根本、特にリーダーの育成の仕方を大幅に変えるべきだと思います。社長の任期が短いこともそうですし、そこに至るまでの期間を含めて、経営者の育て方に再考の余地があります。今のキャリア設計では、どうしても、トップに上がるのが遅くなる。欧米企業のCEOのように、40代で社長になれる人を育てるには、この枠組みのなかでは無理です。リーダーを育成する仕組みを別につくらなくてはいけない。また、現地子会社の社長などの要職についても同様です。ちなみに、韓国は創業者もしくは創業家がマネージしている会社が多いため、意思決定のスピードが速い。しかし、韓国の企業にとっても、これから10年、20年経って経営のトップ層が代替わりしていくと、現在の日本と同じ悩みを抱える可能性は十分ありうると思います。

田北 なるほど。トップの就任年齢と任期についてももう少しお考えをお聞かせ願えますか。

近藤 1960年代〜80年代に比較して、短任期化・昇進遅延化してきています。最近の社長着任の平均が59歳くらいだとすると、任期は長くても約6年。仮に中期計画が3年単位だとすると、2サイクルは回せますが、これは、欧米のCEOや韓国の創業者と比較しても非常に短い。多極化された現在の環境のなかで、新たな市場におけるマーケット特性の取り込みや、新規ビジネスの立ち上げ、また、事業の資源配分やポートフォリオの見直しといった取捨選択をグローバルベースで行うためには、戦略の継続とそのための期間が絶対に必要です。

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