セミナーレポート

「信頼できるネットメディア」とは何なのか

ディスカッションII
偽物を拡散させない仕組みとは?
~「情報の信頼性」とどう向き合っているのか。現状と課題を議論~

第2部では、メディアから受け取った記事を配信するキュレーションメディアが、フェイクニュースの流布防止などに果たす役割を検討した。

市川 裕康
ソーシャルカンパニー
代表取締役

米国のネット事情に詳しいソーシャルカンパニーの市川裕康氏は、フェイクニュースや収益を狙って読者をだまそうとする広告記事など、いくつかのタイプを紹介。対策として、一般読者が誤った情報を鵜呑みにしないようにするメディアリテラシー教育の重要性を訴えた。「米国ではメディア企業が社会的責任として、リテラシープログラムを展開しています」と述べ、日本企業の取り組みにも期待した。

杉本 哲哉
グライダーアソシエイツ
代表取締役社長

ライフスタイル情報中心のキュレーションサービス、アンテナを運営するグライダーアソシエイツの杉本哲哉氏は「当社が独自に記事の真偽を保証しようとすると、膨大なコストがかかり難しい」と話す。同社は、約300の媒体と契約を結び、受け取った記事を7チャンネルに分けて配信する。イメージ判定のテクノロジーを使って、宣材写真の利用比率などから信頼性を監視し、スタッフが全配信記事に目を通すが、万全ではない。杉本氏は「真偽や無断転用を気にする読者が少ないのも現実」と、受け手側の課題も指摘した。

藤村 厚夫
スマートニュース
執行役員

スマートニュースの藤村厚夫氏は、「震災時に必要な情報を生活者に伝えるべきメディアが機能しなかった」という思いから「人々のニーズに合わせて良質なコンテンツを届けられる仕組みの構築を目指してきた」と語った。その同社も架空記事の露出などの苦い経験があり、問題のある記事を排除するため、人手を含めた重層的なチェック体制を構築。コンピュータアルゴリズムを使った記事の選別にも力を入れているが「テクノロジーがフェイクニュース拡散に加担させられるケースもあるので、そうした事態を防ぐ力も必要です」と難しさに触れた。

ディスカッションで、山田編集長は、提携メディアの選別によって信頼を担保する可能性を質問。杉本氏は、写真や広告などの問題をチェックした結果、当初約400社だった媒体との契約を一時は約200社まで減らしたと説明。藤村氏は「それぞれに報道方針がある場合は、各記事の判断を尊重するのが基本だが、単なるモラル逸脱や広告コンテンツを混入させているような場合などは契約解除もあり得ます」と答えた。

今後について、藤村氏は「業界としてもフェイクニュースへの問題意識や知見を共有することを対応すべき」という考えに言及。杉本氏は「大衆だけに記事の真偽の判定を委ねず、メディアが本物を示していくことが重要」と訴えた。山田編集長は、メディアの収入を支える広告主向けに、信頼性のある記事作成プロセスを監査する仕組みを提案。市川氏が、米国のテレビ番組を例に「信頼されるためにあるべき姿を、メディア同士が公開の場で議論してほしい」と締めくくった。

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