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1割の異才をリーダーに育て
Brutalなグローバル競争を勝ち残る 三谷 宏幸 ノバルティス ファーマ株式会社 代表取締役社長

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日本企業はなぜグローバル化が遅れているのか

米国・ケンブリッジにあるノバルティス バイオメディカル研究所

松下 よく外国人から、日本企業に勤めても、キャリアがグローバル化しないと言われます。場所によって仕事のやり方が違うし、見る数字も違う。要するに日本の企業は業務の標準化ができていない。ここを変えない限りグローバル人材を確保したり育成したりするのは難しい気がします。そこはどう取り組めばいいのでしょうか。

三谷 いよいよ本題ですね。まず日本では海外の支社で働く人たちにどういう目的やターゲットを与えて、どういう点で評価するのかが必ずしも明確になっていないのではないでしょうか。つまり日本は標準化が非常に弱いのです。でも私はどこの国でも経営というものは80%は同じだと思っています。もちろん国によって違う部分もある。でもそれは20%くらいです。ところが日本では、その20%を70%くらいに捉えてしまい、すぐに「ジャパン・イズ・ディファレント」と言ってしまう。そうするとグローバルのマネジャーたちが話を聞かなくなる。大事なのは同じ80%をどう納得させて運用できるプロセスに落とすか。たとえば経営の指標とか人材育成とかを言葉や数字にしてわかりやすく説明し、「これだけ守りなさい」というお互いの基準をスペルアウトすればいいのですが、それができない。それがグローバルな経営ができないいちばんの理由ですね。

松下 そういう意味では今経営をされている方々、役員クラスなのか、事業部長クラスなのかわかりませんが、そういう方にはグローバルな経験が少ない方が多い。自分がやったことも見たこともないものは実践できないのでしょうか。頭ではわかっていても体が動かないというように。

三谷 そういう人もいますが、そうでない人もいると思います。たとえば松下幸之助さんは英語をどれだけしゃべったか知りませんが……。

松下 ほとんどしゃべれなかったみたいですね。

三谷 あんな経営の神様でも、海外に行って直接の意思の疎通はできなかったということです。それでもあの人の考え方はグローバルスタンダードになりうるものが多かった。だから海外経験と思考能力は違うのではないかと思います。逆に、中途半端に海外に行ったからといって海外で通用するわけでもありません。昔は「外資ゴロ」と呼ばれる人たちがいました。英語がしゃべれるというだけで主張に一貫性がなく、ボスの言うことなら何でも賛成するような人々です。当然、グローバルパートナーからは、外資ゴロの本当の「顔」は見えません。本当のリーダーならそういう意味での一貫した「顔」が見えるはずです。それがリーダーシップではないかと思います。

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