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創業者が経営から退いた後、ブランドは弱まるのが普通だ。味のブレ、現場の動揺、思いの希釈……理由はいくらでもある。ところが、創業者が手放した後に売り上げが前年比152%まで急伸した天丼チェーンがある。東京・日本橋発祥の「金子半之助」だ。
2010年に創業者・金子真也さんが立ち上げ、2017年にM&Aで事業を手放した。経営から完全に退いてすでに9年が経つ。その間、店舗は国内38店舗・海外23店舗(2026年3月時点)まで増えた。コロナ禍の2022年度の売り上げは前年比152%。その後も115〜139%の2桁成長を維持している。
創業者の手を離れたブランドが、なぜここまで伸び続けるのか。背景には、「手放すことがブランドを守ることになる」という、一見矛盾した経営の選択があった。
外食チェーンの動向や新メニューの裏側を探るマエノメリ史織さんの連載「外食ビジネスのハテナ特捜最前線Ⅱ」。第2回は「金子半之助」を前後編でお届けする。
《合わせて読む》→→後編:2カ月でアルバイトを"揚げ手"に育てる…天丼チェーン「金子半之助」"職人の味"を全店で再現できる《仕組み化》の正体
日本橋総本店の行列(写真:オイシーズ)
「一番のファン」になった創業者
関西国際空港で搭乗前、「日本っぽいものが食べたい」と思い、天ぷら専門店に並んだことがある。受け取った天丼は、海老や野菜の天ぷらがどんぶりからはみ出るほどに乗り、ごま油の香りが立ち、衣はサクサク、タレが濃くて甘かった。
タレかけを行う店員(写真:オイシーズ)
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