「不確実性の世界」を生き抜く上での、
ビジネス・インテリジェンスの重要性 邉見 伸弘(デロイト トーマツ コンサルティング
国際ビジネス インテリジェンス リーダー)

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ビジネスの現場でインテリジェンス力をどう活かすか

〈ビジネスの場でのインテリジェンス〉

経営コンサルティングの仕事は、知的情報産業の代表例だ。外資系戦略ファームを中心に、手法が多く展開されるようになって久しい。ところが、一見、特殊なように見える手法も、シンプルにいえば情報の扱い方、加工の仕方を体系化したものにすぎない。

新興国参入戦略といっても、その国や地域のことを押さえていなければならないのは大前提だ。

日本においても例外ではない。どの産業、どのアジェンダに取り組む上でも、鳥瞰的な視点や、あらゆることに対する因果関係を探ろうとする視点は不可欠となっている。

コストオペレーション施策をいくら打っても、為替が変動すれば前提は変わる。サプライチェーンのあり方も同様だ。マクロ経済の基本的な理解などのインプットがどうしても必要となってくる。「前提が変わったのでしかたがない」は実業から離れた場面では許されても、企業経営の現場では許されない。

前提そのものが変化するのであれば、それをできる限り正確に把握し、シナリオを描き、手を打っていく、広い意味でのインテリジェンス力≒情報解釈力が必要となってくる。

ただし、インテリジェンス力をビジネスの現場で身につけ、活かすには、それなりに時間がかかる。私自身も情報収集・分析にかける時間をカウントしてみると、少なくとも1日2~3時間は費やしている。世界を見渡すと、投資家、政府関係者、ジャーナリスト、経営者等で深い見識や鋭い視点を持つ方は、コツコツと新聞の切り抜きをはじめ、情報解釈の知的トレーニングを続けている。ただし、これらを忠実に継続する人は本当に少ない。アプローチ自体は、特別な方法ではなく「目の前にある」ものだ。長い積み重ねのトレーニングはビジネスの現場でも「ブレない軸」を形作っていく。それが不確実性の世界を生き抜く上での大きな力につながっていくのだ。

(photo: Hideji Umetani)