分析力を鍛えるための3つの方策 ものごとを「分かる」ということ
“正しく”分かるということ
このプロセスにおいて必要十分かつ適切な構成要素の選択ができていないと、それが何であるか(それはコップである)ということを正しく判断することはできない。たとえば、目の前の対象物の形を真横から見ただけでは長方形か台形のシルエットとしてしか認識できない。あるいは、真上から見たのであれば、単なる円盤としてしか認識できない。また形ではなく、材質だけしか観察せずに判断してしまうと、目の前にあるモノはガラスであるという分かり方をしてしまう。間違いではないが、「それは(ガラスの)コップである」という分かり方のほうが正しさの度合いは高い。
ここで取り上げた、分かろうとする対象物がコップであるようなシンプルな場合であれば、正しく分かるための属性要素の選択と判断はそれほど複雑でも難しくもないが、分かろうとする対象物が何であるかは一見するだけでは判断が難しいことも少なくない。その場合は、匂いや味をチェックする必要があるだろう。科学的な成分分析が必要になる場合もある。
このように、それが何であるかを正しく分かるためには、形も大きさも色も、匂いも重さも手触りも、成分も比重も比熱も、ほかのモノとの反応特性も……というように、その対象物の構成要素/属性要素を総体的に把握することが必要なのである。
そして、これがまさに分析である。分析とは、分かろうとする対象の構成要素/属性要素をタテ・ヨコ・ナナメに切り分けてヌケ・モレなく総体的に把握することなのである。