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試行錯誤がビジネスの視野を変える

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
新しいビジネスアイデアが思いつかない。マーケットの課題にぶつかる。仕事をしていて誰にでも訪れる悩み。では、それをどのように乗り越えるのか。そのひとつの答えが、近い距離での密な議論と“試行錯誤”にあった。 経営のプロの思考フレーム。他業種からの視点。消費者目線。それらが融合したとき、ビジネスの視野が変わる。

ビジネスを成功に導く「試行錯誤」

ビジネスの視野が開ける瞬間。その一つの答えが、ここK.I.T.虎ノ門大学院のゼミにあった。K.I.T.虎ノ門大学院は、ビジネススクールとしては珍しくゼミを設けている。1研究室5人前後の少人数制で、ビジネスの第一線で活躍する教授と密に議論し、その思考法を間近で学ぶ絶好の機会を得ることができる。

今回は、『経営戦略全史』などの著書で知られる三谷宏治教授のゼミに潜入した。三谷教授といえば、常に眼光鋭く、シャープで、怖そうなイメージがないだろうか。実際は、チームリーダーや上司のような錯覚を覚える。意外なほどソフトな印象だ。

三谷教授が講義やゼミを通じて一番大切にしていることは、院生が「試行錯誤する力」を身につけることだと話す。これは三谷教授がコンサルタントとして働きはじめたとき、最初に学んだことだという。その気づきを自ら得てもらうため、院生は毎週、必ず発表することになっている。その理由について三谷教授は「深掘りするテーマを決めるために、まずはどういうテーマだったら面白いのかをいろいろ探さなくてはなりません。毎回必ず発表し、試行錯誤の機会を得る。こうして少しずつ進めていくのが目的です」と話す。

では実際、どのような発表が行われているのだろうか。

視野が変わる瞬間

院生はプレゼンテーションを通じて、場を取り仕切る力、全体を俯瞰する力が自然と身につく構成となっている。

この日の発表者は4名。日頃、実際の仕事の現場で課題となっていることなどを市場分析などを踏まえて発表する。そこに三谷教授の鋭い指摘、そして他のゼミ生からも日頃と違う視点からの質問が入る。これがビジネスの視野を変える瞬間となる。

ここでは、ビジネス手帳メーカーに勤めるAさんの発表でみてみよう。

Aさんは現在、手帳市場全体に関する基礎的な調査研究を進めている。この日まで、自社や競合会社の分析結果や顧客の消費動向を発表してきた。ここまでのゼミで、三谷教授から「市場をさらに深く考える」というヒントをもらったという。

今回取材した日には、手帳の売れ筋商品・顧客の嗜好の調査結果が発表された。デザイン性やサイズが重視される手帳市場において、ユーザーに現在どのようなタイプが人気なのかを分析。様々な手帳タイプの調査結果が説明されるなか、話題は「1日1ページタイプの手帳」(例:ほぼ日手帳)に。人気があるのに市場規模が小さいこのタイプの手帳をなぜAさんたちは商品化しないのか。

Aさんは勤務先で商品化していない現状を、生産コストが高い割に、市場規模が小さい=多くの消費者に好まれていないからと理由付けして次の説明へと移ろうとした。

そこに待ったをかけたのが、三谷教授である。

小さい市場は本当にダメなのか

三谷教授は院生が見落としているポイントに指摘を入れた。

「市場が小さいからダメ、ということになるのかな? 市場(セグメント)が小さくとも人気があるというのは、全体の数パーセントだけど強い好みを持った人たちが確実に存在するということ。今の自社のシェアがそれほど高いわけではないのだから、小さな市場でも成功できたらOKでしょ。また、そのタイプの商品が好まれる「理由」が必ずあるはず。その「理由」と自社商品の「強み」を組み合わせて考えたら、新しい何かが生まれるのでは」。自分の視野では見落としそうになったこのポイントにこそ、実は商品開発のヒントが隠されていたのだ。

ゼミ生からも、日頃Aさんが思いも付かなかった視点で質問が飛ぶ。「女性と男性の手帳の使い方の違い、女性の社会進出で消費動向にどのような変化が見られたのか」「デジタルと紙の市場動向の推移について調べてみては」などの指摘がなされ、意見交換も徐々に熱を帯びる。異業種や消費者の視点に多くの気づきを得て、Aさんも納得の表情だ。最後に三谷教授からまとめと次への課題が出されてAさんの発表・討議時間が終わる。

Aさんが仕事で抱える課題に対し、経営戦略のプロの思考フレーム、異業種からの視点が融合し、新たな視点と課題が見つかったAさん。まさにビジネスの視野が変わった瞬間だった。

効率良い失敗が成功のもと

このように、短時間での発表を毎週行う意義を、「技は繰り返すことで身に付く」と三谷教授。ビジネスに必要となる知識を体系的に学ぶことはもちろん大切だが、それだけでは血肉にならない。「学んだことを考え、実際に使い、失敗して、初めて学ぶことができる。だからゼミは試行錯誤を伴った繰り返しの場」という。

もちろん、だからこそ失敗も多い。三谷教授は「失敗は必然なのです。多くのトライアル&エラーをしない限りは、効率よく失敗する力はつきません。少しでもいい。まず試してみる。そうすると、失敗とも思われない小さい失敗で終わる。完璧なものを作ろうとして失敗するよりも、10回の試行錯誤ができるほうがずっと効率的。試行錯誤の繰り返しが、早く正しい方向性へと導き出してくれるのです」と語る。

実際に院生に話を聞いてた。たとえば、Bさんの場合、ゼミを通じて、もともとは自身の起業と結びつけて発表していた研究が、いまでは地域再生など、当初は考えてもいなかった方向性へとビジネスの場が広がっているという。

こうした成功の裏にあるのは、たくさんの小さな失敗と試行錯誤、そして何より身近で常に相談に乗ってくれる三谷教授、ゼミ生たち仲間の存在があったからだろう。

実際にゼミに参加しなくても、私たちにできることはなにか。最後に三谷教授から、「上手な試行錯誤」のヒントをもらった。