東洋経済オンラインとは

世界のトップエリートの話をしよう

  • 制作:東洋経済企画広告制作チーム
世界のトップエリートは、何をどのように学んでいるのか。
普段の生活で、心がけていることは何か。
容赦なくグローバル化する現代を生き抜くためには、今こそ彼らに学ばなければならない。
世界中のエリートに共通する特徴を解説する。

私が出会った世界のエリートたちに共通するもの

私が出会った世界のエリートたちの話をしよう。この話が少しでもこれからの日本を、そして世界を担う人たちの参考になればいい。
 プロフィールを見ていただければわかるとおり、私は幸いなことに学生時代、社会人時代、議員時代、そして現在と、世界中の各界のリーダー、リーダー候補生と触れ合ってきた。彼らには、以下のようないくつかの共通点があった。

 (1)型を大事にする
 (2)地道に準備する
 (3)タイムコスト意識
 (4)多様性への対応
 (5)感情的にならない反論の仕方
 (6)最悪を想定してポジティブになる
 (7)朝型で体を鍛える

本稿では、それぞれの共通点について解説していこう。

(1)型を大事にする
 日本人は個性がなく、外国人は個性豊かという偏見がある。しかし、外国人エリートは型を非常に大事にする。型をマスターしてそこから個性を出すのだ。私は日本人も型に忠実になったほうがいいと思う。型を持たずに、出たとこ勝負なのが日本人の特徴ではなかろうか?
 たとえば考える型。エリートは間違いなく考えるためのフレームワークを持っている。日本人は考える型を教えられる機会がほとんどないので、型を持って考える癖がついている人は少ないように思われる。それが、私たちが冷静な分析や議論が苦手な原因ではないかと思う。

(2)地道に準備する
 一夜漬けが通用する世界はどこにもない。一夜漬けで何とかなるのは、日本の試験くらいだろう。米国の試験は地道な努力が問われるもの。答えを覚えることには意味がない。多くは最初から問いと答えがセットで提示され、問われるのはその答えを導き出す過程だ。
 これは理にかなっている。ロジカルシンキングと仮説検証力を鍛えるには、答えを覚えさせる記憶力チェックは不要どころか邪魔にしかならない。まず学生に答えを教えて、それが導き出される過程を問う。このような試験に、一夜漬けは通用しない。それこそ千本ノックのように、常にロジカルに考え、仮説検証力を日常的に自分で磨いていないと回答できない。

(3)タイムコスト意識
 エリートには「時は金なり!」を強烈に意識して行動する人間が多い。会議はあまりやらないし、やっても短い。短くて済むのも皆がタイムコストをわかっているから。だから会議の作り込みもしっかりしている。事前にメール等で情報交換や課題の洗い出しを行い、会って確認・検討すべきことだけをそぎ落としておく。何のための会議なのかは皆できちんとシェアしているので、無駄なく事を進めることができる。
 同じ組織の人間とだらだら夜も飲んだり、二次会に行くなんてことは基本的にない。反面、タイムコスト意識を持つためには、自分で自分の目的や幸せを追求するための時間の使い方を編み出していなければならない。

(4)多様性への対応

 日本は素晴らしい国だが、1 つだけ課題があるとしたら、多様性が少ないことだと思う。世界最大の都市東京でもほとんどが日本人だ。ニューヨークでもロサンゼルスでもロンドンでもシンガポールでも、東京と比べたら、いったい誰が現地人なのかわからないくらい多様性がある。こういった都市では、エリートが所属するチームは多国籍なのが普通で、それは小学校から始まっているケースが多い。
 国籍だけでなく、女性の社会進出も世界は日本より進んでいるし、年齢差別や年功序列も少ないので、多様な年代がミックスされたチームにもなっている。このように性別や年齢による多様性もあり、多くのエリートはそういった環境に慣れ親しんでいる。

(5)感情的にならない反論の仕方
 エリートは批判や個人攻撃ではない反論の術を身に付けている。日本は反論が個人攻撃や批判と混同され、エスカレートしてしまうか、それを恐れて意見を言わない傾向がある。これは日本の課題だと思う。
 マッキンゼー・アンド・カンパニーの社是の1 つが「全員に常に反論する義務がある」だという。私はこれはいいことだと思う。反論せずに相手を信じることは美しいが、実は思考停止に過ぎない。逆に疑うことは、脳がフル稼働している状態なのだ。フル稼働させるために反論し、反論されることに慣れておくことを促してくれるのが、このシステムだ。マッキンゼーだけでなくビジネススクールやロースクールも同じような不文律がある。

(6)最悪を想定してポジティブになる
 ビジネススクールやロースクール、そしてシンクタンクで徹底的に仕込まれた思考の型に“Plan for the worst, hope for thebest”というものがある。最悪を想定し、それに備えて準備して、そこからポジティブになれというものだ。
 今も昔も、ビジネスこそ何が起こるかわからない世界だ。グローバル化やテクノロジーの進化でさらにそういう傾向が増している。世界最大・最強のランド研究所というシンクタンクは、最悪想定の権化である。9.11 後のテロ対策からハリケーン・カトリーナ後の対策まで準備した機関で、ありとあらゆる事態を想定して計画を作る訓練を叩きこんでくれた。
 こういった経験を経ると、日本は政治・政府からビジネス界まで根拠のない楽観主義に支配されているように映る。だから激変に対する備えが不十分で、グローバル化やテクノロジーの進化に対応できていない。私は、日本と日本人には準備が足りないと思う。

(7)朝型で体を鍛える
 エリートはテレビをほぼ見ない。そもそも自宅にテレビがない。そして老若男女問わず皆、早寝だ。その日のうちには必ず寝ている。その代わり、朝起きて体を動かしている人が多い。
 体を鍛えることは、健康で時差や長時間労働にもびくともしない状態を作り上げることにつながる。加えて体を鍛えながら脳の機能を鍛え上げているのだ。エリートにとって、文武両道は合理的なのだ。運動と学習は密接に結び付いており、切っても切れない関係にある。

自ら打って出ることが必要

 グローバル化が進み、テクノロジーも進化し、何もしなければ不安ばかり増すこれからの時代は、自ら打って出ることが必要だ。そのためには準備をしっかりすること。上記のエリートの行動原則の7つを、最初から全部は無理でも、実践できるものからやってみることが大事だ。1 つでもやり始めたら、必ず何かが変わると思う。実際、私がそうだったから。
 そして何といっても「自分の頭で考える」訓練を積み重ねておくこと。他人の意見や世の流行に流されることほど危険で後悔のもととなることはないと思う。何が起こるかわからない時代こそ、何より自分で情報を集め、考え抜いて、結論を出すことが大切だ。どんな挑戦や結論をも受け入れられるよう、とにかく体と心は鍛えておくべきである。

田村 耕太郎 (たむら・こうたろう)
エール大学、ハーバード大学元研究員。その生き方が評価され、日本人政治家として初めてハーバードビジネススクールのケースの主人公となる。世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク、ランド研究所にて唯一の日本人研究員を務めた。新日本海新聞社相談役。2002~10 年まで、2期参議院議員を務める。その間、内閣府大臣政務官(経済財政・金融・地方分権・再チャレンジ各担当)、参議院国土交通委員長を歴任。早稲田大学、慶應大学大学院、デューク大学法律大学院、エール大学大学院国際経済および開発経済学科を各卒業。オックスフォード大学上級管理者養成課程(AMP)修了。ハーバード大学ケネディスクール危機管理プログラム修了。スタンフォード大学ビジネススクールEコマースプログラム修了。東京大学EMP8 期生。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『君は、世界を迎え撃つ準備ができているか?』(中経出版)、『君は、世界がうらやむ武器を持っている』(大和書房)、『君に、世界との戦い方を教えよう』(講談社)などがある。