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90キロあった体重が、1年で74キロになった。運動はしていない。カロリー制限もしていない。味見のときは、ケーキを一人前食べる。
洋菓子店の店主の話である。
カロリーは気にしなくていい。肉も油も、満腹になるまで食べていい。糖質の量と、食べる順番さえ守れば、血糖値は上がらず、体重はちょうどいいところに落ち着いていく——。
北里大学北里研究所病院の糖尿病センター長、山田悟医師が提唱するこの食事法を「ロカボ」という。医師自身も半年で8キロ減らし、以来18年間、その体重を維持している。
ならばロカボを、町ぐるみで広められないかーー。これまでの経緯は前編に記した。
そうして神奈川県湯河原町で2025年に始まったのが、「湯河原ロカボツーリズム」という取り組みだ。地域の飲食店や宿が参加し、町ぐるみで、血糖値を上げずに美食を健康的に楽しむ旅をサポートしている。2026年10月の第2期で、参加事業者は12から28に増えた。その中には、ビールスタンドもイタリア料理店もある。
ビールやパスタを出す店が、なぜ血糖値の取り組みに加われるのか。まずは冒頭の洋菓子店主を訪ねた。
「一応、声かけるけどさ。関係ないと思うけどね」
菓子工房「ランブル」の店主、大金巨人(おおがねなみと)さんは、2017年に湯河原で店を開いた。町民がお祝いの日に買う洋菓子といえば、この店だ。


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