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キッチンの床に、1枚の布団が敷かれていた。ここに暮らしていたのは、認知症を抱えていた80代の男性だ。枕元には数年前に亡くなった姉の写真が何枚も散らばっていた。
本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
ゴミ屋敷清掃・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)を営み、
YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信する二見文直氏と、今回の依頼者が現場で交わした言葉から、住人の暮らしをたどる。
動画:キッチンの床で生活する男性。認知症でどうしても片付けられない…孤独を抱えた物置部屋
キッチンの床が、「唯一の居場所」だった
玄関に入ると、すぐ足元に半透明のゴミ袋がいくつも積まれ、廊下の入り口をふさいでいた。廊下の床は書類や封筒、紙類のゴミに覆われ、足の踏み場がない。
その先の部屋の中央に、1枚の布団が敷かれていた。かつて花柄だったとみられる布地は、いまは黄や茶のシミが広がっている。枕元には本や雑誌、アルバムが積み上がり、足元には電気ケトル、ハンガー、トイレットペーパー、食品、薬など、あらゆるモノが散乱している。
奥の和室も同じだった。衣類や雑誌、アルバムが積み重なって、畳はもう見えない。台所も、料理をする場所ではなくなっていた。食器をしまうはずの戸棚に、CDが隙間なく詰め込まれている。
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