ただし今回は、そこに別の問題が重なっていた。認知症による失禁で、布団のまわりに尿のニオイがこもっていたのである。この部屋の片付けを依頼したのは、住人の親戚にあたる男性だった。依頼主も、当初からニオイを気にしていた。
「できる範囲はわれわれのほうで整理はしたんですけど、どうしてもニオイが残ってしまって。管理人さんからも、『ニオイが気になります』と言われて。これから夏に向けて、近所の方々にもご迷惑になったらいけないので」(依頼主)
認知症の人が住む「部屋の特徴」
「認知症の方が住まわれていた部屋の特徴として、いちばんわかりやすいのは小銭ですね。認知症の方は、小銭が本当に多いです。まだ作業を始めて30分ですけど、もうこんなに出てきますから。100円玉とか」(二見氏)
おつりを財布にしまったことを忘れ、また小銭をつくる。小銭を置いた場所も忘れ、あちこちに置く。それが積み重なって、硬貨が部屋中に散らばっていく。モノの置き方が普通ではないこと。布団に残ったニオイ。そうした認知症のサインが、部屋の中からはいくつも確認できた。
住人の男性が施設に入所したのは、片付けの依頼が入る2カ月ほど前のことだった。年末に体調を崩して入院し、そのまま1人での生活は難しいと判断された。部屋の状態をそばで把握していた人はいなかった。
住んでいた男性自身も、自分の部屋が「普通ではないこと」を自覚していなかったという。片付けようとしたことはあったが、認知症が進む中で、その手は追いつかなかった。


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