キャリアの選択肢としての「起業」 まずはイントレプレナーを経験しよう
日本発シリコンバレー経由のベンチャーを支援する
米国に赴任し、シリコンバレーを訪れて感じたことは、日本企業や日本人ビジネスパーソンの存在感があまりにも薄いことだ。ビジネスで成功している人はいないし、プレゼンに来る人もいない。このまま放っておけば、少子高齢化でますます経済は縮小していく。そうならないためにも、日本人のビジネスパーソンに数多くのチャレンジをしてもらって、多くの母数のなかから勝ち残る人を出していかなければならない。そう思い、2011年からボランティアでシリコンバレーに来て起業をしたいという日本の若者の相談を受け始めた。
楽天から転職の誘いがあったのは、その頃だ。少し時間をさかのぼる2010年、楽天は社内の公用語を英語にすると発表し、世間を騒がせた。この報道に私は衝撃を受けた。日本のインターネット企業も海外に目を向けていくと思うとうれしかった。いろいろな国からグローバルなインターネットビジネスが生まれているのに、日本から海外に進出しているインターネット企業はまだない。
楽天の海外展開を成功させることをきっかけに、自分が日本の役に立つのではないか。それが楽天への転職を決めたいちばんの理由だった。もし楽天が日本にとどまる一インターネットベンチャー企業であれば、どんなポジションをもらっても、興味は持たなかったと思う。
こうして今、私は、楽天の執行役員としてシリコンバレーを拠点に日本や欧州などでもビジネス活動を行いつつ、シリコンバレーでの起業を志す日本人起業家をサポートするボランティアを続けている。