キャリアの選択肢としての「起業」 まずはイントレプレナーを経験しよう

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大企業でやりたいこと、大企業だからできること

その後私は、取引先の1つだったソニーに入社する。ソニー出身の起業家は多いが、起業を経てソニーのような大企業に入社する人は少数派だろう。私はなぜソニーに入社を決めたのか。まったく違うステージに行けば、これまでできなかった経験ができる。そう考え、ベンチャーではなく大企業を選んだ。

入社してしばらくすると、起業家を続けていては得難い経験があることもわかってきた。ベンチャーを経営していると、毎月末に資金繰りの心配をしなくてはならない。また人事・労務など、本業以外の仕事もする必要がある。それはそれで大事な経験ではあるが、プロとして自分の仕事を極めるということはなかなか許されない。その点、大企業で社員として働けば、自分の本来やりたい仕事に集中することができる。大企業にも自分を磨くチャンスはいくらでもあるということだ。

ソニーでは、2008年から米国に赴任することになった。最初はプレイステーションネットワーク、その後は電子書籍部門の事業戦略を担当し、日本、ヨーロッパ、米国で電子書籍事業を立ち上げることになった。こうして私は当初の望みどおり、これまでできなかった経験、つまり「小さな会社ではできないダイナミックなビジネス」「グローバルなビジネス」を経験することができた。大企業の仕組み、グローバルな経営や事業戦略、ハードウェアとソフトウェアとコンテンツのビジネスをどう回していくか、といったことを勉強できたし、自分でも新しいものをつくることができた。これらは、この先のキャリアを考えると、本当に大きな財産である。

私は当時から常に自分のことを「イントレプレナー(企業内起業家)」と自覚し、それが自分の価値と考えて働いている。今、多くの企業で、社員に対して「経営者の視点で働く」ことを求めているが、私にとってはそれが当たり前のことであり、実際に起業した経験がそのスキルを実装させているのだ。

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