INDEX
ネイチャー・ポジティブ(生物多様性の損失を止め、回復軌道に乗せる)とカーボン・ニュートラル(温室効果ガスの排出を実質ゼロにする)の同時実現を目指すと事業者の東急不動産は言う。しかし、地元の石狩市長と北海道知事は疑問符を突き付けた。
環境アセスメント手続きが大詰めを迎える北海道厚田風力発電事業。海に面した丘の上の事業地は、市のゾーニング計画で環境保全エリアとなっている。「希少猛禽類の衝突死を招くのは必至」と懸念する声が高まっている。
計画地は、市が取り組んだゾーニング計画で「環境保全を優先すべきエリア」
この事業は、約444haの計画地に高さ173mの風車15基を建てて発電するもので、出力は最大6万4500kW。国の環境影響評価(環境アセスメント)法に基づく手続きが進む。東急不動産が環境影響評価準備書を作成して2026年3月、経済産業省に提出し、北海道知事に送り、地元石狩市で縦覧。現在、経産省が審査中だ。
国道231号線を車で北へ進むとパッと視界が開けて海と丘が見渡せる場所がある。石狩市がたてた看板の「望来ビューポイント」という文字は消えかかっているが、美しい景観が見られる場所として知られる。海に面した丘の上にある事業の計画地も見える。
「設置者:東急不動産」と書かれた基準点のクイが打たれた計画地に行ってみた。計画地の端、1号基が建てられるあたりからは、海が午後の陽光に光って見えた。ここ周辺はハチクマやオオタカなどの営巣が確認され、オジロワシの飛翔がよく見られるなど、希少猛禽類の繁殖・生活圏になっている。
10月7日に北海道知事が公表した意見書は、「重大な環境影響が生じるおそれ」を指摘し、「重大な環境影響を回避または十分に低減できない場合、もしくは回避・低減できることを裏付ける科学的根拠を示すことができない場合は、事業規模の大幅な縮小、実施区域の位置の変更など事業計画の抜本的な見直しを行うこと」を事業者に求めた。


※ログイン後、コメント入力が可能です。