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夜、車を走らせていて、山沿いに続く、怒ったゴジラの目のような赤い光を見たことがある。送電線と、それをつなぐ鉄塔だ。送電線建設技術研究会によると、インターネットの回線にも使われる送電鉄塔は全国に24万基以上ある。
最近ニュースでよく耳にするクマの被害や大規模な山火事とこの送電線や鉄塔は、一見、何の関係もなさそうに思えるかもしれないが、実は根っこでつながっている。
そもそも、私たちがいま、インターネットを使って情報を摂取し、天気予報や災害予報によって安全な暮らしができるのは、送電線や鉄塔をはじめとする、山の中の設備や施設のおかげである。
こうした設備の設置やメンテナンスは、従来電力会社や建設会社が請け負ってきた。その現場のうち、「人力でしか成立しない部分」を引き受けるのが、創業6年目の株式会社山屋だ。山での荷物の運搬、調査、作業、クリエイティブなどを請け負う。
「街で暮らす方が想像する以上に、山の中には設備や施設がたくさんあるんです」
創業者の松見真宏さんは、そう切り出した。送電線だけでなく、土砂崩れの被害を最小限に留めるための治山ダム、緯度経度の測量標である三角点、地震計や降水量観測所など、山にはありとあらゆる設備が存在する。
しかし、松見さんによれば、フリーランスとして山の仕事を引き受け始めた10年前と比べ、山と人間の関係は大きく変化しているという。クマが里に降りてトラブルになったり、大規模な山火事が頻繁に起こったりすることも、その変化と無関係ではない。
なぜ、山の中の設備である送電線や鉄塔と、クマや山火事がつながるのか。山のあらゆる仕事を請け負う松見さんの話から、その理由を紐解いていく。
テレビもネットも電力も…インフラを支える山の仕事
松見さんが2016年にフリーランスで「山屋」として山仕事を引き受け始めた当時は、「歩荷」(ぼっか)と呼ばれる山に荷物を運ぶ仕事や山岳パトロール隊の仕事がメインだった。歩荷は、尾瀬の湿原や各地の山小屋を古くから人力で支えてきた、歴史ある仕事だ。


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