2025年の林野庁の推計では、所有者不明などの理由で人の手が入らないまま放置された山は、およそ400万ヘクタールとされている。これは、九州地方全体(421万ヘクタール)に匹敵する広さだ。
間伐されない山は「燃える準備」ができている
こうした山と人間の関係の変化は、近年の山火事の大規模化の遠因ともなっている。2025年の2月に発生した岩手県大船渡市の山火事は、鎮火まで1カ月以上かかり、焼失面積は実に3370ヘクタール(大船渡市の面積の約1割)にも及んだ。
「山の手入れが行き届いていないということは、間伐がされていないということなので、倒木や枯れ木などの乾燥した木が密集した状態で放置されてしまうんですよ。それに、間伐されない枝木が邪魔をして地面に光が届かなくなってしまうので、土が痩せて草が生えてこないんですね。そうすると油分を含んで燃えやすい針葉樹の葉っぱがカリカリに乾いて堆積してしまうんです。特に秋冬は空気も乾燥しているので、一度火が上がると枯れ葉から枯れ木へとどんどん燃え移って、大規模な山火事になってしまうんだと思います」
実際、林野庁の統計によると、山火事の約7割が1月〜5月(冬から春)にかけて集中している。また、手入れがなされずに草が生えなくなった山の地面は、雨が降ると土が流出して生きた木も痩せていき、悪循環だ。
山屋のメンバーが出向く先でも、山の手入れが行き届いておらず「これは危険だな」と感じる現場もあるという。気がついたことはその山の管理者に報告しているものの、そもそも間伐を請け負う林業従事者が足りていないという実態があり、問題は簡単ではない。
クマも山火事も、目先の対処をしても解決にはつながらない。森林の手入れをし、山に入る人を増やして初期症状に気づけるようにすることが必要だ。「山で働くことが、実は町の生活を守ることにつながっている」と訴える松見さんだが、「かつてのような暮らしに回帰するのは無理がある」と主張する。


※ログイン後、コメント入力が可能です。