「暮らしも社会も人も変わっているので、昔の方法を再び今の時代にやろうと思ってもできないと思うんですよ。昔の方法を学んで、新しい感覚とすり合わせながら、今の人がこの先も続けられる方法で、新たに対処しなきゃいけないんです。現代の資本主義社会を否定せずに、無理なく山仕事が成立するスタイルをつくるというのが、僕の提案です」
では、山屋はいったい誰と、どうやって「今の人がこの先続けられる方法」を作り出しているのだろうか。
20代から60代まで「登録パートナー」の正体
冒頭で触れたように、松見さんたちの仕事の大部分は、インフラを支えるものである。だから、特定の高い山がある場所だけではなく、北海道から沖縄まで全国各地に需要があり、調査や点検の仕事は四季を問わず年中発生する。
「先週だと、秋田、熊本、四国、伊豆半島と7現場くらい同時にまわっていました」
山屋が各地の仕事を引き受けることができるのは、全国に業務を委託する「登録パートナー」が100名以上いるからだ。4割以上は長野・山梨に住むが、その他は各地で山と関わりを持つ人たちだ。必要なときに必要な人数が各地から現場に駆けつける。
登録パートナーは、山での専門仕事または安全行動を経験したことがあって、なおかつ20〜30キロの荷物を背負って5時間以上行動できることが必須条件。パートナーは23歳から60歳まで、女性も1割ほどいると聞いて驚いた。
山岳ガイドや山小屋での仕事と兼務している人も多いが、中にはクライマーや登山家、さらには漠然と「山の仕事をしたい」と思いながら様々な仕事を引き受ける中で働き方を模索していく人もいる。
「55歳を超えている方たちは、みなさん異次元の体力の持ち主です。有事の際にすぐに自衛官任務に就く『即応予備自衛官』の方も複数名登録していて、能登半島地震の際にはリーダーとして活躍してくれました」


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