2021年に法人化し、ものの運搬にとどまらず、調査・観測や工事作業、山にまつわるアニメ映画の監修なども手掛ける。
そして2026年現在、最も多い依頼が、送電線の保守点検に必要な部材の運搬と設置、メンテナンスなど、人々の暮らしを支えるインフラ整備の仕事だ。
運ぶ荷物の重さは、1人につき30〜50キロの依頼が多い。現役の歩荷のなかには、100キロ近い荷物を担ぐ人もいるという。1日で終わる仕事もあれば、1カ月近く連続して山に入って作業をすることもある。
依頼の9割は口コミからだ。山の仕事が発生する業者の間で口コミが広がり、富士山を3Dスキャンするという特殊な仕事を請け負ったこともあった。
ドローンが普及すればするほど人力が必要となる
これだけの仕事を人力で担っていると聞くと、ヘリコプターやドローンで代替できるのでは、と思う人も多いかもしれない。実際、たとえば送電線の大規模な設備更新工事の場合、ヘリで大きな部材を運び、小型の部材はドローンも活用する。けれども、ヘリやドローンで運んだ部材を仕分けして現場に運搬するためには、どうしても人力が必要だ。
「10年前に歩荷の仕事を始めたときには、10年以内にこの仕事は人間社会の中で役割を終えてなくなるだろうと思ってたんです。でも実際は、どこまでいってもヘリコプターとドローンだと手……というか足が届かない部分があって、そこは私たちのようなプロの山岳運搬集団がいることによって成立しているのではないかなと思います」
また、ヘリやドローンには台数やオペレーターの制限があり、コストも大きい。インフラ設備の工事や点検は日夜日本中で行われているため、限られた資源のなかで工事を遂行するためには人力が必要なのだ。


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