有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ライフ

「クマも山火事も他人事じゃない」50キロを担いで登る"山仕事のプロ"が警鐘《手入れされない山》がもたらす危険

14分で読める
株式会社山屋代表の松見真宏さん
手入れが行き届かず荒れた山。今、全国で増えている(写真:松見さん提供)
2/8 PAGES
3/8 PAGES

「安全性や合理化のためにドローンが社会に普及したことで、山でも安全に物を運搬することに世の中が注目するようになったんです。その結果、山の中ではまだ人による安全管理やサポートも必要だよね、となって、私たちが呼ばれるようになりました。むしろドローンが仕事を運んでくれています」

ドローンの普及が新しい仕事を生んだように、山と人の関係が変われば、呼ばれる現場も変わっていく。いま、その最前線にあるのがクマに関わる仕事だ。

クマの駆除ではなく「遭遇しない」ための仕事

クマ対策の仕事は、3年ほど前から徐々に増え、2026年に入って爆発的に増えたという。といってもクマを駆除するわけではない。山に入って地質調査や植物調査をする際に、調査員が作業に集中できるよう、クマの生息状況を調査して安全対策をする依頼だ。

従来は猟師に依頼することが多かったものの、最近は専業猟師が少なくなり、平日コンスタントに現場に同行できる人がみつかりにくくなった。また、鉄砲の防除効果を期待して猟師に依頼するケースが多かったが、季節や場所によっては鉄砲の携行や発砲許可が出ないこともある。そこで、いつでも安定してリソースを提供でき、鉄砲とは別の防除対策を講じられる山屋に声がかかるようになったのだ。

「これだけクマを見かけるようになっているからこそ、そもそもクマと近距離で遭遇しないようにすることが大事だと思っています。例えばホカホカのウンチがあるとか、獣臭がするとか、見えないけど近くにいそうかどうかは、クマのことを学習し、安全対策を学んだ者だったら状況にいち早く気づくことができるんです。そしたら、たとえば1カ月の調査の中で、今日わざわざその痕跡が濃い場所に行く必要はないじゃないですか」

他にも、鈴などの音を出し続けることや、複数人でゆっくり動くことも防除に効果的とされている。単独で素早く動き回っていると、クマが人間に気が付かずにいつのまにか距離が近くなってしまい、新しい動きをした瞬間にクマが驚いて攻撃をしかけてしまうパターンが多いという。クマの側も、人間におびえているのだ。

筆者が住む長野県でも頻繁に目撃情報を耳にするようになったツキノワグマ(写真:くまちゃん /PIXTA)

そうはいっても、クマと遭遇したり、襲われたりという報道は後をたたない。万が一クマに遭ったら、私たちはどう行動するべきなのだろうか。

4/8 PAGES
5/8 PAGES
6/8 PAGES
7/8 PAGES
8/8 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数