インタビューでは、ベントレーの新車計画の話も出たし、ブランドのポジショニングについての考えも聞けた。
ベントレーは、およそ3000万円から5000万円超の製品を展開している。メルセデス・マイバッハと近い価格設定で、ロールス・ロイスよりは一段低い。
古くからの自動車ファンにとって、ベントレーは速いセダン作りで知られてきた。私も大好きで、その伝統は現行「フライングスパー」まで受け継がれている。
「しかし……」と、ドクター・ヴァリザーは言う。
「そこに集中してしまっては、顧客のニーズと乖離してしまいます」
1969年生まれのドクター・ヴァリザーは、2023年までポルシェにエンジニアとして勤務し、「911」や「718ボクスター」の開発総指揮を担当してきた。ベントレーのCEOに就任したのは、24年7月のこと。
「私のエンジニアリングのバックグラウンドは、ベントレーにおいても、エンジニアと話をするときに役立っています」
そう言うだけあって、ベントレーに新風を吹き込むことが期待されているようだ。
「ベントレーのいいところは、提案に耳を傾けてくれる企業文化にあります」
“電動化なし”で作られる新しい「スーパースポーツ」
ドクター・ヴァリザーが、CEOに就任して進めたプロジェクトが新しい「スーパースポーツ」。
スポーティクーペ「コンチネンタルGT」のネイキッド版というか、より走りに特化したスペシャルだ。
従来のスーパースポーツはW12気筒エンジンを搭載していたが、新型は490kW(666ps)の4リッターV8エンジン。
特徴は、“電動化なし”。つまりハイブリッド化されていない。かつ、コンチネンタルGTは全輪駆動だが、スーパースポーツはあえて後輪駆動である。
ボディは空力パーツで“武装”され、内装から後席シートを取っ払って2人乗りにするなど、軽量化が進められた。最高速は時速320キロ。静止から時速100キロまでの加速はわずか3.6秒だ。

