豪華な装備や先進技術がベントレーのセリングポイントだと思っていたけれど、狙うのは、「できるだけピュアなスポーツ性」というところがとても興味深い。
だからといって、「過去と決別するつもりはない」とヴァリザーCEO。
「ミュルザンヌをこの先どうするつもりか、としょっちゅう訊かれます」
「ミュルザンヌ」(マルザンヌとイギリス人は発音)は、ベントレーのラインナップの頂点に位置した大型セダン。
6.75リッターV8を全長5.6mの車体に搭載していた。最後のモデルは2020年にモデルライフを終えている。
昔からのファンにしてみれば、戦前からのヘリティッジをどことなく意識させるモデルだった。
大きな車体に大排気量で大パワーのエンジン。轟音とともにレースを席巻していたベントレー車は、当時「世界一速いトラック」と評されたとか。
それを言ったのは、フランスのスポーツカーの名門「ブガッティ」の創業者エットーレ・ブガッティだそうだが、巨軀でパワフルなミュルザンヌには、その歴史の面影があった。
「ミュルザンヌ」より「スーパースポーツ」
意外にも「ミュルザンヌについて尋ねてくるのは、だいたいメディアです。顧客ではありません」とドクター・ヴァリザー。
「私たちは、何度も次期モデルについて検討はしました。正直に言いますが、かけるコストに見合わないんです。もはやマーケットはない、というのが結論でした」
それに対して、と言葉が続く。
「スポーティセグメントはまったく逆。マーケットがあります。適切なモデルであれば価格が上がっても顧客はついてきます。私たちがスーパースポーツを出した理由です」
スーパースポーツは2026年第4四半期に生産が始まり、2027年初頭から納車が開始される。
「この先もこの路線は大事にしていきます。たとえばコンバーチブルを出すのもいいですし、より高性能なモデルだっていいでしょう。特別なモデルには、一定の需要がありますから、私たちも1回で終わらせたくないと考えています」

