小・中学校「1人1台PC」で授業はどう変わる?3分でわかる!GIGAスクール構想の全貌

GIGAスクール構想とは、2019年12月に文部科学省から発表されたプロジェクトである。
GIGAとはGlobal and Innovation Gateway for Allの略。
小学校の児童、中学校の生徒1人に1台PCと、全国の学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、
多様な子どもたちに最適化された創造性を育む教育を実現する構想だ。

2020/07/15

制作:東洋経済education×ICT
編集チーム

次世代の学校・教育現場が目指す姿とは? 次世代の学校・教育現場が目指す姿とは?

ICTを基盤とした先端技術を活用して
「子どもの力を最大限に引き出す学び」を実現

時間・距離の制約なく
良質な学びを提供

個別に最適化された
効果的な学びや支援

「教師の経験知」と
「科学的視点」を融合

学校における
事務を効率化

だが、ICT教育の現状は課題が多い だが、ICT教育の現状は課題が多い

社会にPCやタブレット、スマートフォンが広く普及する一方で、
学校における教育用コンピューターの配備や無線LANをはじめとした通信ネットワークは脆弱。
ICT環境の整備が不十分で、地域格差も大きい。

教育用
コンピューター

教育用コンピューター

5.4人/台

普通教室の
無線LAN整備率

普通教室の無線LAN整備率

41.0%

インターネット
接続率
(30Mbps以上)

インターネット接続率(30Mbps以上)

93.9%

大型提示装置
整備率

大型掲示装置整備率

52.2%

こうしたハードだけでなく、ICTを活用していくうえでの課題も多い。
どのような場面で、どのような機器を活用するのが効果的なのか、実証的な検証が少ないからだ。
さらに、セキュリティーの確保やプライバシー保護の観点からデータの活用が進まないうえに、
データを扱う機関ごとに収集データの指標が異なることから比較が難しく、
教育の質向上にデータが十分に活用されていない。

では、どうやって進めていくの?GIGAスクール構想実現のロードマップとは では、どうやって進めていくの?GIGAスクール構想実現のロードマップとは

2019年から5年をかけて行われる予定だったGIGAスクール構想。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による学校の休校措置で、
教育のICT化の必要性を多くの人が痛感し、前倒しで進められることになった。
当初示されたロードマップが下記だ。

ロードマップ(小学校) ロードマップ
ロードマップ(中学・高校)

1人1台の端末から
個人の教育データを収集・分析し、
1人ひとりにフィードバックする
個別最適化された学びを実現

今年4月に閣議決定された政府の「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」では、次のような方向性が示された。

  1. 1.2023年度までの児童生徒1人1台端末の整備スケジュールの加速
  2. 2.学校現場へのICT技術者の配置の支援
  3. 3.在宅・オンライン学習に必要な通信環境の整備
  4. 4.在宅でのPC等を用いた問題演習による学習・評価が可能なプラットフォームの実現

これを踏まえ、2020年度補正予算案に総額2292億円が計上された。
GIGAスクール構想の加速によって、学校休校時においても、
ICTの活用により子どもたちの学びを保障できる環境を早急に実現するためだ。

「ハード・ソフト・指導体制」三位一体の改革で取り組みを加速 「ハード・ソフト・指導体制」三位一体の改革で取り組みを加速

ICTの環境整備 ICTの環境整備

小・中学校で1人1台PCを実現

小中学校で
1人1台PCを実現

高速大容量通信ネットワークを整備

高速大容量通信
ネットワークを整備

全国の自治体・学校の調達を支援

全国の自治体・
学校の調達を支援

デジタルならではの学びを充実 デジタルならではの学びを充実

デジタル教科書・教材など良質なデジタルコンテンツの活用を促進

デジタル教科書・教材など
良質なデジタルコンテンツの
活用を促進

ICTを効果的に活用した学習指導の例を提示

ICTを効果的に活用した
学習活動の例を提示

AIドリルなど先端技術を活用した実証

AIドリルなど
先端技術を活用した実証

ITCの環境整備 ITCの環境整備

ICTを使いこなせる教員を育成

各地域の指導者養成、
研修を実施

ICT活用教育アドバイザーによるワークショップを全国で開催

ICT活用教育
アドバイザーによる
ワークショップを全国で開催

ICT支援員など企業の多様な外部人材の活用促進

ICT支援員など企業等の
多様な外部人材の活用促進

こうした「1人1台PC」や高速大容量の通信ネットワークといったICT環境の整備が、
子どもたちのみならず、教員の力も最大限に引き出すと期待されている。
子ども1人ひとりの反応を把握しながら、双方向の授業が展開できるのはもちろん、
それぞれの理解度に応じた個別学習が可能になるため、教師はよりきめ細かな指導ができるようになるからである。

グループワークでは、子ども1人ひとりが独自の視点で情報を収集して整理、分析ができ、
それらを即時に周りと共有して議論ができるようになる。
その過程は、情報の真偽を確認しながら考えを深めていくといった
子どもたちの情報活用力を養うことにもつながるだろう。
新しい学習指導要領で盛り込まれた主体的かつ対話的で深い学びにも通じるものだ。

またICTによる遠隔教育は、海外や専門家と連携した授業の実施、
過疎地域の教員不足を補うものとしても期待が大きい。
今後、日本の教育が大きく変わっていく。
GIGAスクール構想の実現は、そのスタートにすぎないということだ。

出所:文部科学省「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策」「平成30年度学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」
「GIGAスクール構想の実現のロードマップ」「『児童生徒1人1台コンピュータ』の実現を見据えた施策パッケージ」
「令和2年度補正予算案への対応について」を基に作成

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