この時期から、春華堂は日本航空(JAL)をはじめ、地元の農業法人や生産者団体など、業種の異なる企業・団体との取り組みを次々と始めている。自社だけで商品を作り、売るのではなく、外部と組むことで新しい価値を生み出そうとする動きだ。
この「外と組む」という発想は、やがて春華堂のこれからの成長を考えるうえでも、一つの重要な方向性になっていった。
商品にもプロジェクトにも「遊び心」を。それが春華堂のスタンスだ。しかしそれはあくまで、現在まで右肩上がりで成長を続けているうなぎパイという武器があるからだ。
しかし、今後内需が縮小していくなかでも、海外展開の模索など売り上げを維持もしくは拡大していく方向性はいまのところ考えていないと、常務取締役の間宮純也さんは言う。会社が500人から300人規模までに縮小したとしても、従業員の幸福度が変わらなければ無理して売り上げを伸ばす必要はないと。
間宮さんは、4代目社長の山崎貴裕氏とともに10年代に社内改革を行い、課題だったうなぎパイ以外の事業を盛り上げた人物だ。
しかし、伸ばす努力をしなければ、売り上げは減っていくだろう。そうなれば、従業員の幸福度を保つことも難しい。春華堂は企業として、今後何を目指していくのだろうか。
「1社だけで一生懸命成長しようと頑張れば、社内に戸惑いや苦労も多くなります。だからみんなで一緒に取り組むことに、チャンスがあると思っているんです。そこで現在進めているのが、『遠州・和栗プロジェクト』です」(間宮さん)
うなぎパイの会社が、なぜ和栗……?
話の飛躍にはわけがある。
競争するより、一緒に生き残る
春華堂の和菓子部門ではかつて、近隣で採れる良質な栗を使っていた。しかし、生産者の減少などによって安定して仕入れることが難しくなり、県外産や一部海外産に切り替えざるをえなくなった。


※ログイン後、コメント入力が可能です。