「手間を惜しまない。効率では測れない職人の手わざ。一見非効率とも思える姿勢こそが、私たちにとっての『オリジナル』なんです」
「遊び心」で浜松に人を呼ぶ
春華堂が運営する施設は、うなぎパイファクトリーだけではない。
住宅と工場が並ぶのどかな道を進むと突如として現れる、巨大なダイニングテーブル。その下には、ガラス張りの建物が収まり、巨大なダイニングチェアーがそれを囲んでいる。敷地内には、うなぎパイの紙袋を拡大したオブジェや、真っ赤な豚の貯金箱も添えられている。
その名も「SWEETS BANK(スイーツバンク)」。建物の1階には春華堂のフラッグシップ店と直営のベーカリー&カフェがあり、2階は本社オフィスとなっている。
同じ敷地内には浜松いわた信用金庫森田支店もあり、こちらもまた巨大なダイニングテーブルの下にすっぽりと収まっている。
ダイニングテーブルは、うなぎパイのコンセプトである「家族団らん」の象徴、豚の貯金箱は信用金庫のシンボルだ。すべて実物の13倍の大きさに拡大されているという。
この遊び心満載の建物は、本社と工場の建て替えにあたり、「地域への恩返しとして、まちのシンボルとして来てくれた人を楽しませたい」という山崎貴裕社長の思いから誕生した。ちょうど建て替え時期を迎えていた森田支店の支店長や理事長と意気投合し、地域活性化も目的に加え、約50億円を投じて建てられたのだ。
そのインパクトある外観がSNSで話題を呼び、今では年間40万人以上が来訪する浜松市の観光拠点にまで発展している。
「私たちの商品は、お土産菓子として観光業と強く結びついています。しかし浜松の観光業を担っていた舘山寺温泉や弁天島温泉は徐々に下火になり、廃業する旅館も増えているのが現状です。
ならば今度は自分たちが浜松に人を呼び込むランドマークを作り、周辺の旅館や飲食店などにも再び活気を取り戻そうというのが、社長の考え方なんです」(髙山さん)
春華堂では、うなぎパイファクトリー、スイーツバンクのほか、「nicoe(ニコエ)」という販売店兼イベントスペースも運営している。鮮やかなピンク色の外壁が静かな街の中に突如現れる光景は、かなりのインパクトだ。


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