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かつて歌舞伎町のランドマークとして存在した「新宿コマ劇場」。美空ひばり、北島三郎、都はるみなどの大物歌手らが出演し、文化・娯楽の拠点として、52年間にわたって人々を楽しませてきた(2008年に閉館)。
その出演者たちに愛された楽屋弁当が、歌舞伎町で70年以上続く食事処「ひょっとこ」の「のり弁」だ。芸能人だけでなく歌舞伎町の人々にもファンが多く、今でもひょっとこの看板メニューとして人気がある。
歌舞伎町と歴史を共にしてきた、ひょっとことのり弁にはどのようなドラマがあるのか、店を訪ねた。
毎日「ウインナーエッグ」を注文するホスト
「お母さん、銀だらの煮つけちょうだい。あとビールをもう一本」
「はーい、ちょっと待ってね!」
とある平日の18時。常連と思わしき中年男性の注文に、元気いっぱいの声で返すのは佐藤文江さん(71歳)だ。ひょっとこの3代目店主で、客たちから「お母さん」と慕われる存在である。
昭和歌謡が流れる、カウンターだけの店内。ホスト風の男性はスマホを操作しながら生姜焼き定食を、仕事帰りの会社員風の男性はサバ味噌煮定食をほおばっている。定食でおなかを満たすこともできれば、軽くつまみながら酒も飲める。弁当のテイクアウトもできれば、昼にはランチ営業もしている。ひょっとこはそんな店だ。

