明さんが初めてひょっとこに来たのは、円さんと交際していたとき。両親の店だと連れて来られ、料理の美味しさや雰囲気に感動していたという。その様子を見て、円さんはひょっとこの魅力を再認識したと明かす。
「主人がすごくお店を気に入って、しょっちゅう来たがって、友達もいっぱい紹介してくれたんです。私は小さい頃から店にいたし、ご飯は美味しいけど『実家の味』という感じだったから、当たり前すぎて魅力がわからなかった。でも、こんなに感動してくれるなんて、ひょっとこってすごい店なんだなと思いました」
コロナ禍が明けて、平穏な日々が戻った頃、闘病中だった茂さんが死去。文江さんの悲しみや失意は大きかったが、ここでも明さんの「お店をやめちゃだめだ、あと30年はやろう」という言葉が背中を押し、3代目の店主となったのだった。
看板娘の文江さんも70代に「あとどれくらい続けられるか」
ひょっとこの魅力の1つは、何と言っても文江さんの人柄だろう。円さんは、文江さんの性格を、「いい意味で適当なんです」と説明する。
「お客さんのおじ様が、母に何か相談をしていたんです。でも次の瞬間、母が全然違う軽い話を始めて、お客さんも悩み事を忘れちゃったことがありました。気難しいお客さんともすぐ仲良くなって、気づいたら一緒にご飯やカラオケに行っていたことも。ひょっとこの店主が母じゃなかったら、こんなにたくさんの常連さんが来てくれていないと思います」

