過去には油そば単独店も出したが、新宿駅近辺の地下立地で月商300万円程度にとどまった。一方、同じ場所で家系ラーメンをやると1200万円規模になった。川島社長は今でも「家系ほどの全国制圧力は油そばにはない」と語る。
だからこそ、“二番手”として活用する。これが今回の戦略の核心だ。
油そばは家系の代替ではない。しかし、補完には極めて優秀だという。
まず、スープが不要なのでオペレーションが軽い。寸胴も不要。厨房改装もほぼいらない。既存店舗にシート看板を貼る程度で導入でき、投資額は数十万円レベル。うまくいけば「10日で回収できる」とまで語る。
しかも、現場負担はむしろ軽くなったという。
「油そばの注文が増えると、家系のスープを扱う量が減るのでオペレーションはより軽くなるんです」
さらに価格面でも強い。「壱角家」がやや高価格帯に感じられる中、油そばは800〜900円台で満腹感を出せる。コスパ訴求が可能で、学生層にも刺さる。
油そばによる「来店動機の拡張」
加えて、家系にない客層を取り込める点も大きい。
女性客、グループ客、暑さでラーメンを敬遠する客層――。家系ラーメンは猛暑時に弱いが、油そばはスープがないため夏でも強い。一方で冬は家系スープが強い。つまり、互いの弱点を補完し合う関係なのだ。
特に興味深いのが「グループ需要」の話だ。
「家系は嫌だけど油そばなら行く、って人が結構いるんですよ」
6人グループのうち数人が離脱していたケースでも、油そばがあることで全員を取り込める。これは単なるメニュー追加ではなく、「来店動機の拡張」なのである。
