近年は日本でも、ローカル線の維持などのために広がりつつある「上下分離」。鉄道のインフラは自治体や公的機関などが保有・管理し、列車の運行は鉄道会社が行うという形だ。
ヨーロッパでは鉄道が上下分離化され、さらに条件を満たせばさまざまな企業が列車の運行事業に参入できる「オープンアクセス」制度が導入されている。例えばある国の旧国鉄系鉄道会社が他国で列車を走らせたり、新参のベンチャー企業が夜行列車を走らせたりすることも可能だ。
だが実際には、ほとんど言いがかりのようなクレームをつけたり、不利なダイヤを割り当てたりするなど、既得権益を守るための参入妨害、新参いじめと言われても仕方ないようなことも起きている。
「新型TGV」はイタリアを走れない?
そして今、フランス国鉄がイタリア国内線での運行を目指す最新型高速列車「TGV-M」をめぐって問題が勃発している。
3月、イタリアやフランスの複数のメディアは、イタリアの鉄道インフラを管理するRFI(Rete Ferroviaria Italiana)が、「TGV-M」が同国内の一部区間のトンネルに干渉する恐れがあると主張していると報じた。
ヨーロッパ域内で運行されている鉄道車両はおおむねどの国でも問題なく通過できるよう、各国ともある程度共通の寸法が定められており(ローディングゲージ、日本語では車両限界)、メーカーはそれに応じて車両を設計する。TGV-Mのベースとなった2階建て高速列車、アヴェリア・ホライズンを設計したフランスのアルストムも、各国の高速鉄道網の基準に収まるようにデザインしている。
しかし、ちょっとした落とし穴があった。
