「人に頼ることと甘えることの境界や差が、私にはよくわかりません。付き合うならば頼りになる男性がいいと思ってきましたが、実際に付き合ってみて、頼りにできないとわかった相手が困っているところを見たくなくて、別れてしまうことがありました」
東京都内の蕎麦店に来ている。20代の頃のややこじれた心境を振り返るのは、東海地方出身の岡田祥子さん(仮名、38歳)。東海地方に住んでいる筆者とは旧知の間柄である。祥子さんは今年の春に結婚し、東京の下町が地元である夫の智弘さん(仮名、28歳)との共同生活を始めている。
智弘さんと出会ったのは、2年前に一人で行った温泉地での居酒屋のカウンター席だったらしい。なかなか大胆ななれそめだが、若い頃は実家を含めた既存の居場所にしがみついていたと祥子さんは語る。
「勤務先が地元の市役所だったのもありますが、29歳まではずっと実家で暮らしていました。私は長女なので、いい子でいたいという気持ちが強いのかもしれません。いつも親の目を気にしていました」
実家を出るきっかけになったアフリカの旅
もっと自由にいろいろな人と交流して遊びたい気持ちが日増しに強まった祥子さん。見知らぬ人たちとアフリカを旅するツアーに参加して刺激を受け、「実家を出るぐらいは小さなこと」だと思えるようになった。
「旅から帰って来て、すぐに一人暮らしを始めました。実家から歩いていける距離ですけど(笑)、親との関係は良くなりましたね。今まで私を便利に使っていた父親が、『仕事が忙しくて夜遅くなるなら、お前の家に米を炊きに行ってやろうか』なんて言ってくれたんです」
飲食好きの祥子さんは地元で伸び伸びと飲み歩くようになり、常連になった店のカウンターでは年代も性別も問わずに会話を楽しむようになった。ちょっと遅めの青春である。一人旅も気軽に行くようになった。そして、四国の温泉地で智弘さんと出会った。
「彼は男友だちとの2人旅で、居酒屋のカウンター席で近くになったから話しかけてくれたんです。私の分も払ってくれたので、足湯で飲む缶ビールは私が出しました」


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