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「多いときで7時間待ち」「真冬も行列」のかき氷店、なのに全然儲からなかった…23年続く湘南の名店が直面した《矛盾》

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かき氷専門店 埜庵
愛知県西尾市の葵製茶を、かき氷用に特別にブレンドしたオリジナル抹茶に練乳をたっぷりとかけて(写真:筆者撮影)

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小田急江ノ島線の鵠沼(くげぬま)海岸駅を降りると、一本道の商店街の両隣には、洋服屋や花屋、飲食店などの個人商店が並ぶ。そこから小道を曲がり、静かな住宅地を歩いていくと、右手に風になびく「氷」の旗が見えてくる。

日本のかき氷ブームの火付け役となった「埜庵」

遠目には店だとわからないような、黄色く塗られた木造の民家を改装した一軒が、「埜庵(のあん)」。2003年にオープンした、通年営業するかき氷専門店の草分けであり、日本のかき氷ブームの火付け役となった店のひとつだ。

木曜日の夕方に店を訪れると、平日なのに客が途切れるようすはない。店内では次々にかき氷の注文が入り、かき氷機が忙しそうに回っていた。

「ありがとうございました!」

オーナーの石附浩太郎(いしづきこうたろう)さんは、かき氷を食べ終えて店を立ち去る客の一人ひとりに声をかけ、時に深々とおじぎをして、その後ろ姿を遠くまで見届けている。

かき氷専門店「埜庵(のあん)」オーナーの石附浩太郎さん(写真:筆者撮影)

鵠沼出身で、現在は新潟に暮らすタカシさん(仮名・28歳)は、小学生の頃から埜庵に通い続けている常連客のひとり。この日は、母親とともに来店。取材の日は月の半ばだったが、すでにひと月で5回目だという。

「埜庵のかき氷は、無駄なものがなくて、シンプルだけどおいしい。都内の有名店にも食べに行きましたが、やっぱりここのかき氷が一番です。お店の雰囲気も、自分にとっては、家に帰ってきたような温かさを感じるので、なくなったら困る“お味噌汁”のような存在ですね」と照れ笑いしながら、語ってくれた。

思春期に親子の会話が少なくなったときも、埜庵にだけは一緒に足を運んでいたそうだ。

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