一方で、かき氷の味にも徹底的にこだわった。
「まずは埜庵のかき氷をおいしいと思っていただくことを目指しました。おいしい理由が『天然氷だから』では料理屋としても困るので」
いちご、パイナップル、メロン、すいか、桃、レモン、マンゴー。
埜庵のかき氷を象徴づけるのは、生のフルーツからつくる自家製シロップだ。
季節のフルーツを、より本物に近い味わいに組み直す
季節のフルーツを、なるべくそのままのおいしさで届けられるよう、加工の方法を日々工夫している。シロップづくりは、創業より二十数年ずっと石附さんの担当だ。おいしいシロップをつくるためには、おいしいフルーツを使うことが基本。でも、「おいしい果物は、人が手を加えて、それ以上においしくなることはない」と石附さんは言う。
「埜庵では、フルーツの味を一回分解して、酸味や渋みといった甘味と逆の味を加えることで、より本物に近い味わいに再び組み直します」
季節によって、削り方や積み方、シロップの作り方も変えている。
シロップは、糖度、濃度、粘度、温度の4つの度数で設計されるが、夏ならサラッとした清涼感で、溶けて飲んでもおいしいドリンクのようなシロップに。一方、冬は「こんなに大きいのを食べられた」と驚きを持ってもらえるスイーツとして。シロップの濃度と粘度を上げて味が強く残るようにつくるのだとか。
もうひとつ、石附さんのこだわりの結晶なのが、抹茶だ。
埜庵の抹茶は、愛知県西尾市の葵製茶でかき氷用に特別にブレンドしたオリジナル抹茶を使っている。

