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コンビニのおにぎりが200円前後になり、スーパーから400円台の弁当が消えた。安さで勝負してきた弁当業者の倒産が相次ぐ中、塚田農場おべんとラボへの注文は増え続けている。
前編で紹介した通り、同社が手がけるチキン南蛮弁当(税込990円)は、テレビ・映画の撮影現場に届けられるロケ弁の品評会「日本ロケ弁大賞」で、第1回から3年連続金賞を獲得。さらに2026年度は、「TV業界賞」も受賞した。
今、東京駅周辺で1000円を切るボリューム弁当は他にほとんどない。
なぜ、値上げが続く時代に価格を守りながら、品質を落とさないでいられるのか。なぜ、注文が増えているのか。その答えは「10年前に下したある決断にある」と、株式会社塚田農場プラス代表取締役社長の森尾太一さんは言う。
1日1万食でも、手作りをやめなかった
「もともと駅弁業者さんが使用していた弁当工場を買ったんです」
2015年4月、森尾さんは、塚田農場プラスが親会社のエー・ピーホールディングス(以下APHD)から子会社化したタイミングで、新木場にあった弁当工場を取得した。それまで池袋の小規模工場で2000円前後の高級弁当を製造していたが、新工場の取得を機に生産体制は約10倍に拡大。1000円前後の市場へも参入し、より幅広い顧客へ届けることを狙った。
ただ、大量生産には落とし穴がある。効率を追えば追うほど、味は均質化し、手作りならではのおいしさは失われやすい。1日1万食を作りながら、専門店のような品質を保つ……。普通に考えれば、どちらかを諦めるしかない。しかし森尾さんは、両方を追い求めた。

