有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ビジネス #外食ビジネスのハテナ特捜最前線Ⅱ

塚田農場が苦戦したコロナ禍、右肩上がりで伸びた弁当事業…値上げ時代に「990円据え置き」を支える10年前の「ある決断」

11分で読める
塚田農場
東京駅で購入したチキン南蛮弁当税込990円(写真:編集部撮影)
2/6 PAGES
3/6 PAGES

「一度に1000食、2000食の単位で作れるような工場を持っているロケ弁屋さんってほとんどいないんですよ」

老舗のロケ弁屋は味では定評があっても、これだけの量を一度に作れる設備を持つところはほとんどない。しかし、塚田農場おべんとラボは、その注文を受けることができた。

「最近出てきた塚田農場って、大口注文を受けられるらしい」と認知度も拡大。24時間テレビからの注文はその後も毎年続いた。そして、コミケや大学のオープンキャンパス、大企業の新入社員研修などで大口の利用が広がっていった。

一度注文した顧客は翌年も戻ってくる。数百食単位の注文が、毎年同じイベントや企業から入るようになった。

イベント会場に納品された弁当(写真:APHD提供)

「3月(2026年)は1カ月で32万食を作りました。工場を取得した当時と比べると、人件費も資材費も大きく上がっています。今振り返ると、あのタイミングで投資できたのは大きかったですね」と森尾さんは言う。

この10年で、食材だけでなく、働く人のコストや設備関連の費用も含めて、事業を取り巻く条件そのものが大きく変わった。その中で、2015年に工場を取得した意味は、当時以上に重みを持つようになっている。

振り返れば、それは単なる生産拠点の確保ではなかった。需要の拡大に応えながら、味のクオリティを落とさないための仕組みづくりでもあった。そして結果として、今の供給力と競争力の両方を支えている。

なぜ990円が安く見えるのか

東京駅の塚田農場OBENTO&DELI 京葉ストリート店 (写真:編集部撮影)

10年前に工場へ投資した意味は、今になって思わぬ形でも表れている。背景にあるのが、ここ数年の物価高だ。

弁当業界も例外ではない。これまで安さを売りにしてきた弁当業者も、次々と値上げを余儀なくされた。かつて700〜800円台で買えた弁当が、気づけば1000円を超えている。

そんな中で、塚田農場おべんとラボの見え方が変わり始めた。同社は創業当初から、「1000円前後で満足できる弁当」を目指してきた。産地から直接仕入れ、自社工場で製造する。中間コストを抑えながら、味には手を抜かない。その仕組みを10年かけてつくってきた。

4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数