有料会員登録 東洋経済オンラインとは
ビジネス #外食ビジネスのハテナ特捜最前線Ⅱ

塚田農場が苦戦したコロナ禍、右肩上がりで伸びた弁当事業…値上げ時代に「990円据え置き」を支える10年前の「ある決断」

11分で読める
塚田農場
東京駅で購入したチキン南蛮弁当税込990円(写真:編集部撮影)
2/6 PAGES
工場で玉子焼きを手作りしている(写真:APHD提供)

象徴的なのが玉子焼きだ。

多くの弁当工場では、効率を優先して既製品の玉子焼きを仕入れる。しかし塚田農場おべんとラボでは、いまも手作りにこだわる。

「玉子焼きはいまだに手作りです。APHDのこだわり卵『塚だま』の濃厚な旨味を生かすために手作りにこだわっています」

そう森尾さんは表現する。効率だけを考えれば既製品を使うほうが楽だが、味を優先した結果、手作りを続けているのだ。

「玉子焼きってやっぱりお弁当のポイントになると思うんです。人件費はかかっても、ここは譲れないんです」

「塚だま」の玉子焼き(写真:APHD提供)

弁当を開けたとき、みっちりとしたツヤのある玉子焼きが入っている。それだけで、この弁当が「ちゃんとしたもの」だとわかると。

玉子焼きだけではない。鶏の南蛮タレは粘度をつけ、タルタルはマヨネーズと他の材料を合わせるところから自社で行う。チキン南蛮をよりおいしく食べるために、タルタルの酸味と食感にもこだわっている。

「タルタルの酸味は、ピクルスや玉ねぎをフレッシュな状態で入れてます」

チキン南蛮一つとっても、居酒屋「塚田農場」で出すものとは別物として開発した。冷めてもおいしいように、一つひとつの工程に理由がある。

こうした手間は、工場の規模が大きくなればなるほど品質の維持が難しくなる。1日に大量の弁当を作りながら、これだけのこだわりを守り続けられるのは、自社工場を持っているからに他ならない。外部に委託していれば、細かい部分はとっくに削られていたはずだと。

「あんまり人がしない考え方をいくんですよ」と森尾さんは言う。

10年前に下した工場取得という決断は、単なる設備投資ではない。今日の塚田農場おべんとラボを支える土台そのものだったのである。

「自社工場」が差別化を生んだ

イベント会場に納品された弁当(写真:APHD提供)

2015年に自社工場を持ったことで、新しい扉が開いた。2016年、日本テレビの人気番組「24時間テレビ」から注文が入った。

3/6 PAGES
4/6 PAGES
5/6 PAGES
6/6 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ビジネス

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数