2026年6月17日、イラン国営通信は、アメリカとイランが戦闘終結に向けて合意した覚書を報じた。
2026年2月28日以来、世界中を混乱に陥れてきたこの戦争もようやく落ち着きをみせようとしている。とはいえ、これまでも停戦が反故にされてきたこともあるうえ、トランプ大統領自身、「私が気に入らなければイランを再び攻撃し爆弾を落とすことになる」と語るなど、情勢はクリアになったとはいいがたい。
そもそも、この戦争はこれまで航空旅行業界にどのようなインパクトをもたらしてきたのだろうか。
中東3社の動向
中東には御三家とよばれるエアラインがある。アラブ首長国連邦のドバイを拠点とするエミレーツ航空、同じくアブダビを拠点とするエティハド航空、そしてカタールのドーハを拠点とするカタール航空である。
これら3社のエアラインは、特にアジアとヨーロッパを格安で結ぶエアラインとして旅行者に支持されてきた。だが、今回の戦争によって、需要が急激に減少することになった。中東は国際乗り継ぎ旅客数の14%を占め、国際的なハブとして機能してきただけにダメージも大きい。
実はこれら3社のうち、エミレーツ航空、エティハド航空は概ね通常どおり運航している。カタール航空も成田〜ドーハを1日2便に増便、関空~ドーハは6月16日から運航を再開、羽田~ドーハは7月15日から運航を再開する予定である。なお、JALの羽田~ドーハは8月31日まで運休が決まっている。とはいえ、大手旅行会社は中東3社のエアラインを利用したツアーの催行を7月末から8月初旬まで中止している。外務省の危険情報レベルが「レベル1」以下に引き下げられることが再開の前提条件となっており、延長する可能性は少なくない。(2026年6月20日現在)
この「中東ショック」によって最も甚大な影響を受けているのが中東諸国なのは当然のことだが、ヨーロッパからの観光客に多くを依存していたモルジブ(モルディブ)やスリランカ、タイなども大きなダメージを負っている。
インバウンド客の約6割をヨーロッパに依存していたモルジブでは、西ヨーロッパ各国からの観光客が2026年3月以降、軒並み前年比40%以上の減少となった。一方で、モスクワからモルジブまでのアエロフロートの直行便が追加され、ロシアからモルジブ行きのツアー料金が約24%下落(2025年4月と2026年4月の比較)するなど、「ロシア」頼みという状況も生まれている(もともと2025年のモルジブへのインバウンドは1位中国・2位ロシアと高いのだが)。

