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スターバックスでコーヒーが数百円で飲める時代に、1杯1300円のコーヒーと2000円超のケーキセットが売れている喫茶店がある。「椿屋珈琲」だ。取材した平日夕方18時台、見える範囲では店内は満席に近かった。
なぜ人は、この価格を払うのか。そこには、単にコーヒーの味だけでは説明しきれない需要がある。
運営する東和フードサービス(東証スタンダード・証券コード3329)は2026年4月期、売上高133億円超という規模を保ちながら、自己資本比率79.2%という、飲食企業としては際立った財務を記録した。高価格帯と手厚い接客を維持しながら、なぜ成長できるのか。その構造を読み解くと、カフェ市場で今起きていることが見えてくる。
街の喫茶店が消えている
全日本コーヒー協会のデータによれば、21年時点の喫茶店事業所数は5万8669。1981年をピークに減少の一途をたどっており、ピーク時から半数以下の水準まで落ち込んでいる。後継者不足、原材料価格の上昇、家賃負担。喫茶店を取り巻く構造的な逆風は今も続いている。
しかし少なくとも、「落ち着いて話せる場所」を求める需要そのものが消えたわけではない。仕事の帰りに少し話したい。大事な相談をしたい。ゆっくりと時間を過ごしたい。そうしたニーズを受け止める場所が、物理的に減り続けている。
